BLOGブログ

北九州の建設業決算申告|税理士による建設業特有の会計・税務サポート

2025-09-04
  • 税務実務

建設業の決算申告と税理士の必要性

建設業は、工事の受注から完成まで長期間かかることが多く、会計処理が複雑です。工事進行基準や完成基準の選択、未成工事支出金の管理、完成工事補償引当金の計上など、建設業特有の会計処理を適切に行う必要があります。税理士に依頼することで、建設業に精通した専門家のサポートを受けられ、適切な決算申告が可能になります。また、税務調査のリスクを軽減し、節税策の提案も受けられます。建設業の経営者は、早い段階で税理士に相談し、適切な会計処理と税務申告の体制を整えることをお勧めします。

建設業の会計の特殊性

建設業の会計は、製造業や小売業とは異なる特殊性があります。工事は数か月から数年にわたることが多く、売上の計上時期や原価の計算方法が複雑です。工事進行基準を採用する場合、工事の進捗度に応じて売上を計上する必要があり、進捗度の算定には専門的な知識が必要です。また、未成工事支出金、工事未払金、完成工事補償引当金など、建設業特有の勘定科目を適切に処理する必要があります。これらの処理を誤ると、決算書が実態を反映せず、税務調査で指摘を受けるリスクがあります。

税理士に依頼するメリット

税理士に決算申告を依頼することで、建設業特有の会計処理を適切に行えます。工事進行基準の適用判断、未成工事支出金の管理、完成工事補償引当金の計上など、専門的な処理をサポートしてもらえます。また、建設業の税務調査のポイントを熟知しているため、税務リスクを軽減できます。さらに、建設業向けの節税策(設備投資の特別償却、中小企業投資促進税制など)の提案も受けられます。税理士に依頼することで、経営者は本業に集中でき、適切な決算申告が可能になります。

建設業の会計処理

建設業の会計処理には、工事進行基準と完成基準の選択、未成工事支出金の管理、完成工事補償引当金の計上など、特有の処理があります。これらを適切に行うことで、正確な決算書を作成でき、経営状況を正しく把握できます。ここでは、建設業の主な会計処理について解説します。

工事進行基準と完成基準

建設業の売上計上には、工事進行基準と完成基準の2つの方法があります。工事進行基準は、工事の進捗度に応じて売上を計上する方法です。工事期間が1年以上の長期工事や、工事収益総額が10億円以上の大型工事では、工事進行基準の適用が求められます。一方、完成基準は、工事が完成した時点で売上を計上する方法です。小規模な工事や短期工事では、完成基準を採用することが一般的です。どちらの基準を採用するかは、工事の内容や規模により判断します。税理士に相談し、自社に適した基準を選択しましょう。

未成工事支出金の管理

未成工事支出金とは、工事が完成していない時点で発生した原価を計上する勘定科目です。材料費、労務費、外注費、経費などが含まれます。工事ごとに原価を集計し、未成工事支出金として計上します。工事が完成した時点で、未成工事支出金を完成工事原価に振り替えます。未成工事支出金の管理が不適切だと、原価が正確に把握できず、利益計算が誤ります。工事台帳を作成し、工事ごとに原価を管理することが重要です。

完成工事補償引当金

完成工事補償引当金とは、工事完成後の補修費用に備えて計上する引当金です。建設業では、工事完成後も一定期間の瑕疵担保責任があります。将来発生する可能性のある補修費用を見積もり、引当金として計上します。完成工事補償引当金の計上により、将来の費用を適切に見積もり、利益を平準化できます。ただし、引当金の計上には一定の要件があり、税務上認められるためには、過去の実績に基づいた合理的な見積もりが必要です。

工事台帳の作成

工事台帳とは、工事ごとの売上、原価、利益を管理する帳簿です。工事台帳を作成することで、工事ごとの採算を把握でき、原価管理が可能になります。工事台帳には、工事名、発注者、契約金額、工事期間、原価(材料費、労務費、外注費、経費)、進捗度、売上計上額などを記載します。工事台帳を適切に作成することで、未成工事支出金や完成工事補償引当金の計算が正確になり、決算書の信頼性が高まります。

建設業の税務申告のポイント

建設業の税務申告では、消費税の処理、外注費と給与の区分、交際費の範囲など、注意すべきポイントがあります。適切な税務処理を行うことで、税務調査のリスクを軽減し、節税効果も得られます。ここでは、建設業の税務申告で重要なポイントを解説します。

消費税の処理

建設業の消費税処理では、工事の引渡し時期が重要です。完成基準を採用している場合、工事が完成した日が課税売上の計上時期となります。工事進行基準を採用している場合、工事の進捗度に応じて課税売上を計上します。また、建設業では材料費や外注費など、課税仕入れが多く発生します。インボイス制度導入後は、適格請求書の保存が消費税の仕入税額控除の要件となっています。取引先がインボイス発行事業者かどうかを確認し、適格請求書を適切に保存しましょう。

外注費と給与の区分

建設業では、外注費と給与の区分が税務調査で問題になることがあります。外注費は消費税の仕入税額控除の対象となりますが、給与は対象外です。また、外注費は源泉徴収の必要がありませんが、給与は源泉徴収が必要です。税務署は、実質的に雇用関係があるにもかかわらず、外注費として処理していないかを厳しくチェックします。外注費として処理するには、請負契約書の作成、業務の独立性、対価の支払い方法などの要件を満たす必要があります。税理士に相談し、適切な区分を行いましょう。

交際費の範囲

建設業では、取引先との接待や贈答が多く、交際費が高額になる傾向があります。法人の場合、交際費は一定額まで損金算入が認められますが、超過分は損金不算入となります。中小法人の場合、年間800万円まで全額損金算入できます。交際費に該当するかどうかの判断は、支出の目的や相手先により異なります。取引先との飲食費は交際費となりますが、社内の会議費は交際費に該当しません。適切に区分し、記録を残すことが重要です。

減価償却の処理

建設業では、重機、車両、工具器具備品など、多くの固定資産を保有します。これらの固定資産は、減価償却により費用化します。減価償却の方法には、定額法と定率法があります。法人の場合、建物以外は定率法が一般的です。また、中小企業投資促進税制により、一定の機械装置を取得した場合、特別償却または税額控除を選択できます。税理士に相談し、有利な償却方法や税制優遇措置を活用しましょう。

建設業の経営指標

建設業の経営状況を把握するには、売上高、完成工事総利益率、工事受注高、受注残高などの指標を分析することが重要です。これらの指標を定期的にチェックすることで、経営の改善点を発見できます。ここでは、建設業の主な経営指標について解説します。

完成工事総利益率

完成工事総利益率とは、完成工事高に対する完成工事総利益の割合です。完成工事総利益は、完成工事高から完成工事原価を差し引いた金額で、いわゆる粗利益です。完成工事総利益率が高いほど、収益性が高いことを示します。建設業の平均的な完成工事総利益率は、15〜25%程度です。自社の完成工事総利益率を業界平均と比較し、低い場合は原価削減や受注価格の見直しを検討しましょう。

工事受注高と受注残高

工事受注高とは、一定期間に受注した工事の契約金額の合計です。受注残高とは、受注済みだが未完成の工事の契約金額の合計です。工事受注高が増加していれば、営業活動が順調であることを示します。受注残高が多ければ、将来の売上が見込めます。ただし、受注残高が多すぎると、工事の消化が追いつかず、品質や納期に問題が生じる可能性があります。適切な受注残高を維持することが重要です。

自己資本比率

自己資本比率とは、総資産に対する自己資本の割合です。自己資本比率が高いほど、財務の安定性が高いことを示します。建設業は、材料費や外注費の支払いが先行し、売上の入金が遅れることが多いため、資金繰りが厳しくなりがちです。自己資本比率を高めることで、資金繰りの安定性が向上し、金融機関からの信用も高まります。一般的に、自己資本比率30%以上が望ましいとされています。

労働生産性

労働生産性とは、従業員一人当たりの付加価値額です。付加価値額は、完成工事総利益に販売費及び一般管理費を加えた金額です。労働生産性が高いほど、効率的な経営ができていることを示します。建設業では、熟練職人の確保や、ICT技術の活用により、労働生産性を高めることが課題です。労働生産性を定期的にチェックし、改善策を講じることで、収益性が向上します。

建設業の税務調査

建設業は、税務調査の対象になりやすい業種の一つです。外注費と給与の区分、架空外注費、売上の計上漏れ、交際費の範囲などが調査のポイントとなります。税務調査に備え、適切な記録と証拠書類の保存が重要です。ここでは、建設業の税務調査について解説します。

税務調査で指摘されやすいポイント

建設業の税務調査では、外注費と給与の区分が最も指摘されやすいポイントです。実質的に雇用関係があるにもかかわらず、外注費として処理していると、給与として認定され、源泉所得税の徴収漏れを指摘されます。また、架空の外注費を計上していないか、工事台帳と決算書の整合性があるか、売上の計上漏れがないかなども調査されます。交際費の範囲や、私的な支出が経費として計上されていないかもチェックされます。

税務調査への対応

税務調査の通知を受けたら、税理士に相談し、準備を進めます。税務調査では、帳簿書類、請求書、領収書、契約書、工事台帳などを提示します。調査官の質問には、正確に答えることが重要です。不明な点は、その場で回答せず、税理士と相談してから回答しましょう。税務調査で指摘を受けた場合、修正申告を行い、追徴税額を納付します。税理士が同席することで、適切な対応ができ、不当な指摘を防げます。

税務調査を受けないための対策

税務調査のリスクを軽減するには、日頃から適切な会計処理と記録の保存が重要です。外注費と給与の区分を明確にし、請負契約書を作成します。工事台帳を適切に作成し、原価を正確に管理します。売上の計上漏れがないよう、工事の完成時期を正確に記録します。交際費は、支出の目的や相手先を記録し、領収書を保存します。税理士に定期的に相談し、適切な処理を行うことで、税務調査のリスクを軽減できます。

建設業向けの節税策

建設業には、特有の節税策があります。設備投資の特別償却、中小企業投資促進税制、倒産防止共済、退職金制度の活用など、様々な方法があります。税理士に相談し、自社に適した節税策を実施することで、税負担を軽減できます。ここでは、建設業向けの主な節税策を紹介します。

設備投資の特別償却

建設業では、重機や車両などの設備投資が多く発生します。一定の設備を取得した場合、特別償却や税額控除を選択できる制度があります。中小企業投資促進税制では、160万円以上の機械装置などを取得した場合、取得価額の30%の特別償却、または7%の税額控除を選択できます。特別償却を選択すると、初年度の減価償却費が増え、利益を圧縮できます。税額控除を選択すると、税額を直接減らせます。税理士に相談し、有利な方法を選択しましょう。

倒産防止共済の活用

倒産防止共済(経営セーフティ共済)は、取引先の倒産により売掛金が回収できなくなった際に、貸付を受けられる制度です。掛金は月額5,000円〜200,000円で、掛金の全額が経費として損金算入できます。年間最大240万円まで損金算入でき、大きな節税効果があります。また、掛金総額が800万円に達するまで積み立てられます。解約時には、解約手当金として掛金の全額が戻ります(40か月以上加入の場合)。資金繰りの安定と節税を両立できる制度です。

退職金制度の活用

退職金制度を導入することで、将来の退職金支給に備えつつ、節税効果も得られます。中小企業退職金共済(中退共)や、建設業退職金共済(建退共)を活用することで、掛金を経費として損金算入できます。また、役員退職金を支給する場合、適正な金額であれば全額損金算入できます。退職金は、勤続年数に応じた退職所得控除が適用され、税負担が軽減されます。税理士に相談し、適切な退職金制度を導入しましょう。

所得の分散

同族会社の場合、役員報酬や配当により、所得を分散することで、税負担を軽減できます。役員報酬は、定期同額給与として毎月一定額を支給すれば、損金算入できます。また、配偶者や子供を役員にし、適正な報酬を支給することで、所得を分散できます。ただし、役員報酬は、職務内容に応じた適正な金額である必要があります。過大な役員報酬は、税務調査で否認されるリスクがあります。税理士に相談し、適切な役員報酬を設定しましょう。

税理士による建設業サポート

税理士は、建設業の決算申告において総合的なサポートを提供します。工事台帳の作成支援、会計処理のアドバイス、決算申告の代行、税務調査の対応など、幅広いサポートを受けられます。ここでは、税理士が提供する建設業サポートの内容を紹介します。

工事台帳の作成支援

税理士が工事台帳の作成を支援します。工事ごとの売上、原価、利益を管理する仕組みを構築し、工事台帳のフォーマットを作成します。会計ソフトと連携し、工事台帳から会計データを自動生成できるようにします。工事台帳を適切に作成することで、原価管理が正確になり、経営判断に役立ちます。

月次決算と経営相談

税理士が月次で試算表を作成し、経営状況を報告します。月次決算により、売上、利益、資金繰りをタイムリーに把握できます。また、完成工事総利益率、受注残高、自己資本比率などの経営指標を分析し、改善策を提案します。経営上の課題について、税理士に相談できます。

決算申告の代行

税理士が決算書の作成と税務申告を代行します。建設業特有の会計処理(工事進行基準、未成工事支出金、完成工事補償引当金など)を適切に行い、正確な決算書を作成します。法人税、消費税、事業税などの税務申告書を作成し、税務署に提出します。経営者は、決算申告の負担から解放され、本業に集中できます。

税務調査の対応

税務調査の通知を受けた場合、税理士が対応します。税務調査の準備、調査当日の同席、調査後の修正申告など、一連の対応をサポートします。税理士が同席することで、不当な指摘を防ぎ、適切な対応ができます。また、日頃から税務調査に備えた記録の保存方法についてもアドバイスします。

北九州で建設業を営むメリット

北九州市は、建設業を営む上で様々なメリットがあります。官公庁の建設需要が安定している、福岡市へのアクセスが良い、建設業の協同組合や業界団体が充実しているなど、事業環境が整っています。ここでは、北九州で建設業を営むメリットを紹介します。

官公庁の建設需要

北九州市は、政令指定都市であり、市役所や県の出先機関があります。公共工事の需要が安定しており、官公庁からの受注機会があります。また、北九州空港、北九州港などのインフラ整備も進んでおり、建設需要が見込めます。官公庁の工事は、代金の回収リスクが低く、安定した売上を確保できます。

福岡市へのアクセス

北九州市は、福岡市まで高速道路や新幹線で約1時間の距離にあります。福岡市は、九州最大の都市であり、大型の建設プロジェクトが多く、受注機会が豊富です。北九州市を拠点にしながら、福岡市の案件も受注できるため、事業の拡大が期待できます。

建設業の協同組合や業界団体

北九州市には、建設業協会や、職種別の協同組合が多くあります。これらの団体に加盟することで、情報交換や、共同受注の機会が得られます。また、研修会や勉強会も開催されており、技術力の向上や、経営ノウハウの習得ができます。業界団体のネットワークを活用することで、事業の発展につながります。

よくある質問

建設業の決算申告についてよくある質問に答えます。

工事進行基準と完成基準、どちらを選ぶべきですか

工事期間が1年以上の長期工事や、工事収益総額が10億円以上の大型工事では、工事進行基準の適用が求められます。小規模な工事や短期工事では、完成基準を採用することが一般的です。税理士に相談し、工事の内容や規模に応じて選択しましょう。

外注費と給与の区分はどう判断すればいいですか

外注費として処理するには、請負契約書の作成、業務の独立性、対価の支払い方法などの要件を満たす必要があります。実質的に雇用関係がある場合は、給与として処理します。税務調査で指摘されやすいポイントなので、税理士に相談し、適切に区分しましょう。

建設業の税務調査では何をチェックされますか

外注費と給与の区分、架空外注費、売上の計上漏れ、交際費の範囲などが調査のポイントです。工事台帳と決算書の整合性、領収書や請求書の保存状況も確認されます。日頃から適切な記録を残し、税理士に相談することで、税務調査のリスクを軽減できます。

建設業でも倒産防止共済に加入できますか

建設業でも倒産防止共済に加入できます。掛金は月額5,000円〜200,000円で、掛金の全額が経費として損金算入できます。年間最大240万円まで損金算入でき、大きな節税効果があります。資金繰りの安定と節税を両立できる制度です。

税理士に依頼する費用はどのくらいですか

税理士報酬は、売上規模や業務内容により異なります。月次顧問料は、売上1億円未満の場合、月額3万円〜5万円程度が一般的です。決算申告報酬は、月次顧問料の4〜6か月分程度です。税理士に相談し、見積もりを取ることをお勧めします。

まとめ

建設業は、工事の受注から完成まで長期間かかることが多く、会計処理が複雑です。

税理士に依頼することで、建設業特有の会計処理を適切に行え、税務リスクを軽減できます。

建設業の会計処理では、工事進行基準と完成基準の選択、未成工事支出金の管理、完成工事補償引当金の計上、工事台帳の作成が重要です。

建設業の税務申告では、消費税の処理、外注費と給与の区分、交際費の範囲、減価償却の処理に注意が必要です。

建設業の経営指標として、完成工事総利益率、工事受注高と受注残高、自己資本比率、労働生産性を定期的にチェックしましょう。

建設業の税務調査では、外注費と給与の区分、架空外注費、売上の計上漏れ、交際費の範囲が調査のポイントです。

建設業向けの節税策として、設備投資の特別償却、倒産防止共済、退職金制度、所得の分散があります。

税理士による建設業サポートでは、工事台帳の作成支援、月次決算と経営相談、決算申告の代行、税務調査の対応を提供します。

北九州で建設業を営むメリットとして、官公庁の建設需要、福岡市へのアクセス、建設業の協同組合や業界団体の充実があります。

建設業の決算申告でお困りの際は、早めに税理士に相談し、適切な会計処理と税務申告の体制を整えることをお勧めします。税理士のサポートにより、税務リスクを軽減し、節税効果を得られます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な建設業の決算申告については、税理士にご相談ください。

現在弊社では、ZOOMを利用したオンラインによる面談を行っております。
© 税理士 富下会計事務所