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インボイス制度の経過措置とは - 事業者への影響と対応策

2025-3-23
  • インボイス制度

インボイス制度の経過措置について

令和 5 年(2023 年)10 月 1 日から導入されたインボイス制度は、消費税の仕入税額控除の方法に大きな変更をもたらしました。この制度変更による影響を緩和するため、一定の経過措置が設けられています。本記事では、その内容と事業者への影響について解説します。

経過措置の概要

インボイス制度の本格導入後は、原則として適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)から受け取ったインボイスがなければ、仕入税額控除を受けることができません。しかし、制度移行に伴う影響を緩和するため、令和 11 年(2029 年)9 月 30 日までの期間、段階的な経過措置が設けられています。

この経過措置により、免税事業者等からの課税仕入れについても、一定割合を仕入税額とみなして控除することが可能となっています。

経過措置の期間と控除割合

経過措置は以下の期間と控除割合で実施されます:

  1. 第一期間:令和 5 年 10 月 1 日~令和 8 年 9 月 30 日(3 年間)

    • 免税事業者等からの課税仕入れに係る消費税額の80%相当額を仕入税額控除可能
  2. 第二期間:令和 8 年 10 月 1 日~令和 11 年 9 月 30 日(3 年間)

    • 免税事業者等からの課税仕入れに係る消費税額の50%相当額を仕入税額控除可能
  3. 令和 11 年 10 月 1 日以降

    • 経過措置終了。適格請求書(インボイス)の保存がない仕入れについては、原則として仕入税額控除不可

経過措置適用の実務上の留意点

経過措置を適用する場合、以下の点に留意する必要があります:

  1. 区分管理の必要性:経過措置対象の取引(「80%控除対象」など)であることを帳簿に記載し、通常の課税仕入れと区別して管理する必要があります。

  2. 会計処理の複雑化:控除できない部分(第一期間なら 20%)は費用または資産の取得価額に含める必要があり、会計処理が煩雑になります。

    • 例:消耗品費などの費用の場合、控除できない分は「雑損失」や「控除対象外消費税」などで費用処理
    • 例:減価償却資産の場合、控除できない分は資産の取得価額に含めて減価償却
  3. 帳簿への記載:経過措置の適用を受けるためには、免税事業者等からの課税仕入れであることを帳簿に記載する必要があります。

経過措置の影響と対応策

この経過措置は一時的な緩和策に過ぎず、最終的には免税事業者との取引において仕入税額控除ができなくなります。これにより、以下のような影響が考えられます:

  1. 取引先の見直し圧力:課税事業者は、取引コスト削減のため、インボイス発行事業者との取引を優先する傾向が強まる可能性があります。

  2. 免税事業者の選択:売上 1,000 万円以下の免税事業者は、取引継続のためにインボイス発行事業者になり課税事業者となるか、現状維持するかの選択を迫られます。

対応策としては:

  • 簡易課税制度の活用:一定の要件を満たす事業者は、簡易課税制度を利用することで、インボイスの保存なしでも一定割合の仕入税額控除が可能です。

  • 取引条件の見直し:免税事業者との取引を継続する場合、価格や取引条件の見直しを検討する必要があるかもしれません。

  • IT 導入補助金の活用:インボイス対応のシステム導入には、政府の支援制度(IT 導入補助金など)の活用も検討できます。

まとめ

インボイス制度の経過措置は 2029 年 9 月まで続きますが、段階的に控除割合が減少し、最終的には完全にインボイス制度へ移行します。事業者はこの期間を活用して、取引先との関係や税務処理体制を見直し、制度完全実施に向けた準備を進めることが重要です。

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