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「一人法人」こそインボイス登録は有利?メリット・デメリットを徹底解説

2025-06-27
  • インボイス制度
  • 法人成り

一人法人とインボイス制度、そもそも何が論点か?

個人事業主から法人成りした「一人法人」の多くは、設立から 2 年間、消費税の納税が免除されるメリットを享受してきました。しかし、インボイス制度の開始により、この前提が大きく揺らいでいます。

取引先からインボイス(適格請求書)の発行を求められた場合、免税事業者のままでは対応できません。結果として、消費税の課税事業者となり、インボイス発行事業者として登録するかどうかの選択を迫られます。これは、資金繰りや取引先の選定にも影響を及ぼす重要な経営判断です。

一人法人がインボイス登録する3つのメリット

  1. 取引の継続・拡大がしやすい BtoB 取引が中心の場合、取引先は仕入税額控除が可能なインボイス発行事業者を優先します。登録することで、既存の取引を維持しやすくなるだけでなく、新規顧客獲得の機会損失を防ぎます。

  2. 社会的信用の向上 法人格を持つことに加え、インボイス発行事業者であることは、税務コンプライアンスを遵守している証となります。金融機関からの融資や、大手企業との取引において、信用面で有利に働く可能性があります。

  3. 価格交渉で不利になりにくい 免税事業者のままでいると、取引先から消費税相当額の値引きを要求されるケースがあります。インボイス登録をしておけば、こうした交渉を避け、適正な価格での取引がしやすくなります。

デメリットと注意すべきポイント

最大のデメリットは、消費税の納税義務が発生することです。これまで免除されていた分のキャッシュフローが悪化するため、納税資金をあらかじめ確保しておく必要があります。

また、インボイスに対応した請求書の発行や、消費税の申告・納税といった経理業務の負担が増加します。会計ソフトの導入や税理士への依頼など、新たなコストが発生することも考慮に入れましょう。

法人成りを検討中のフリーランスはどうすべきか

これから法人成りを目指すフリーランスの方は、設立当初から課税事業者となり、インボイス登録をすることを前提に事業計画を立てるのが現実的です。特に、主要な取引先が課税事業者である場合は、登録が必須と考えるべきでしょう。

設立後の資金繰り計画に消費税の納税額を織り込み、価格設定や経費構造を事前にシミュレーションしておくことが、スムーズなスタートを切るための鍵となります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な判断については、税理士などの専門家にご相談ください。

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