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電子帳簿保存法、顧問先への指導は万全?税理士が押さえるべき新常識

2025-06-15
  • 電子帳簿保存法
  • 税理士

なぜ今、電子帳簿保存法への対応が重要なのか

2024 年 1 月 1 日より、電子取引で授受した書類の電子データ保存が完全義務化されました。多くの事業者が対応に追われる中、税務の専門家である税理士には、顧問先を正しく導く役割が強く求められています。

宥恕措置が終了した今、適切な対応ができていない場合、青色申告の承認が取り消されるリスクもゼロではありません。これは、顧問先の経営に直結する重大な問題です。税理士として、法改正のポイントを正確に伝え、実務に落とし込むサポートが不可欠です。

顧問先に伝えるべき3つの指導ポイント

電子帳簿保存法への対応は、単なるシステム導入の話ではありません。業務フロー全体の見直しが必要です。税理士は以下の3つの視点から、顧問先を具体的に支援すべきです。

  1. 現状の業務フローと課題の可視化 まずは顧問先がどのような書類を、紙で、あるいはデータで受け取っているのかをヒアリングし、棚卸しを支援します。「請求書」「領収書」「見積書」など、対象となる書類を具体的にリストアップさせることが第一歩です。

  2. 最適な保存方法の選定とルール作り 必ずしも高価なシステムが必要なわけではありません。「ファイル名の統一ルール(例:20250715_取引先 A_110000 円)」を定め、フォルダ管理するだけでも対応は可能です。顧問先の IT リテラシーや規模感に合わせて、現実的な運用方法を一緒に検討・提案しましょう。

  3. 社内への周知徹底と規程の整備 経理担当者だけが理解していても、全社的な対応は進みません。営業担当者が受け取った PDF の見積書なども対象になるため、全社員への周知が不可欠です。簡単な「電子保存に関する社内規程」を作成し、運用の定着をサポートすることが望まれます。

税理士自身の業務はどう変わる?

この法改正は、税理士にとっても大きな転換点です。紙の証憑を整理・保管する手間が大幅に削減され、監査や確認作業の効率化が期待できます。

ペーパーレス化によって生まれた時間を活用し、資金繰り改善や経営戦略の立案といった、より付加価値の高いコンサルティング業務に注力するチャンスと捉えることができます。法対応をきっかけに、顧問先との関係性をより強固なものにしていきましょう。

※本記事は、一般的な情報提供を目的としており、具体的な税務判断を推奨するものではありません。個別の事案については、必ず専門家にご相談ください。

現在弊社では、ZOOMを利用したオンラインによる面談を行っております。
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