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遺言書の作成方法と北九州でのサポート|税理士が教える完全ガイド
2025-10-17
- 相続税
- 税務実務
遺言書とは
遺言書とは、自分が亡くなった後の財産の分け方について、生前に意思を示しておく書面です。遺言書を作成することで、自分の意思どおりに財産を承継させることができ、相続人間のトラブルを防ぐことができます。
遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行い、財産の分け方を決める必要があります。しかし、相続人間で意見が対立すると、協議がまとまらず、相続争いに発展する可能性があります。
遺言書を作成するメリット
- 自分の意思どおりに財産を分けられる
- 相続人間のトラブルを防げる
- 相続手続きがスムーズに進む
- 相続税の節税につながる場合がある
- 法定相続人以外の人にも財産を渡せる
遺言書が特に必要なケース
- 配偶者に全財産を残したい
- 特定の子に事業を承継させたい
- 内縁の配偶者や孫に財産を残したい
- 相続人がいない
- 相続人の仲が悪い
- 不動産など分けにくい財産が多い
遺言書の種類
遺言書には、主に3つの種類があります。それぞれ特徴が異なるため、状況に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。
自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、遺言者が自分で全文を手書きで作成する遺言書です。
作成方法
要件
- 全文を自筆で書く(パソコン不可)
- 日付を記載する
- 氏名を記載する
- 押印する(認印でも可だが、実印を推奨)
財産目録はパソコン作成可能
2019年の法改正により、財産目録についてはパソコンで作成したり、通帳のコピーを添付したりすることができるようになりました。ただし、各ページに署名・押印が必要です。
メリット
- 費用がかからない
- いつでも手軽に作成できる
- 内容を秘密にできる
- 何度でも書き直せる
デメリット
- 形式不備で無効になる可能性がある
- 紛失や改ざんのリスクがある
- 発見されない可能性がある
- 家庭裁判所での検認が必要
注意点
自筆証書遺言は、形式の不備により無効になることが多いため、作成時には十分な注意が必要です。
よくある失敗例
- 日付が「令和○年○月吉日」など特定されていない
- 一部をパソコンで作成してしまった
- 押印がない
- 加筆修正の方法が不適切
公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証役場で公証人に作成してもらう遺言書です。最も確実で安全な方法として、広く利用されています。
作成方法
手順
- 遺言の内容を検討する
- 必要書類を準備する
- 公証役場に連絡し、予約する
- 公証人と打ち合わせ
- 遺言書の作成日を決定
- 証人2名を手配
- 公証役場で遺言書を作成
必要書類
- 遺言者の印鑑証明書
- 遺言者と相続人の関係がわかる戸籍謄本
- 財産を受け取る人の住民票
- 不動産の登記事項証明書、固定資産税評価証明書
- 預貯金や有価証券の資料
証人について
公正証書遺言の作成には、証人2名の立ち会いが必要です。
証人になれない人
- 未成年者
- 推定相続人(相続人になる予定の人)
- 受遺者(遺言で財産を受け取る人)
- 上記の配偶者や直系血族
- 公証人の配偶者や4親等以内の親族
証人の手配
適切な証人がいない場合、公証役場で紹介してもらうことができます(有料)。税理士や弁護士に依頼する場合、専門家が証人を手配してくれることもあります。
費用
公正証書遺言の作成には、公証人手数料がかかります。
公証人手数料の目安
| 相続財産の価額 | 手数料 | |------------|------| | 100万円以下 | 5,000円 | | 200万円以下 | 7,000円 | | 500万円以下 | 11,000円 | | 1,000万円以下 | 17,000円 | | 3,000万円以下 | 23,000円 | | 5,000万円以下 | 29,000円 | | 1億円以下 | 43,000円 | | 1億円超 | 加算 |
財産の受取人ごとに手数料が計算され、合計額が遺言書全体の手数料となります。また、遺言書の正本・謄本の交付手数料や、証人の日当などが別途かかります。
総額の目安
- 相続財産5,000万円程度の場合:5〜10万円程度
メリット
- 公証人が作成するため、形式不備で無効になる心配がない
- 原本が公証役場に保管されるため、紛失・改ざんの心配がない
- 家庭裁判所での検認が不要
- 相続手続きがスムーズに進む
デメリット
- 費用がかかる
- 証人2名が必要
- 作成に手間がかかる
秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、遺言の内容を秘密にしたまま、遺言書の存在のみを公証役場で証明してもらう方式です。
作成方法
- 遺言書を作成(自筆でもパソコンでも可)
- 封筒に入れて封印する
- 公証役場で証人2名の立ち会いのもと、遺言書の存在を証明してもらう
メリット
- 内容を秘密にできる
- パソコンで作成できる
- 偽造・変造のリスクが低い
デメリット
- 費用がかかる(公証人手数料11,000円)
- 証人2名が必要
- 形式不備で無効になる可能性がある
- 家庭裁判所での検認が必要
- 紛失のリスクがある
あまり利用されない理由
秘密証書遺言は、費用と手間がかかる割にメリットが少ないため、実務上ほとんど利用されていません。内容を秘密にしたいなら自筆証書遺言、確実性を求めるなら公正証書遺言を選ぶのが一般的です。
自筆証書遺言の保管制度
2020年7月から、法務局で自筆証書遺言を保管してもらえる制度が始まりました。
制度の概要
- 法務局に自筆証書遺言を預けられる
- 保管手数料:3,900円
- 原本が法務局で保管されるため、紛失・改ざんのリスクがない
- 家庭裁判所での検認が不要
- 相続人は遺言書の有無を検索できる
手続きの流れ
- 自筆証書遺言を作成
- 法務局に予約
- 遺言者本人が法務局に出向く(代理不可)
- 遺言書を提出し、保管の申請
メリット
- 自筆証書遺言のデメリット(紛失、改ざん、検認が必要)を解消
- 公正証書遺言より費用が安い
- 相続人が遺言書の存在を確認しやすい
注意点
- 遺言の内容について法務局がチェックするわけではないため、形式不備で無効になる可能性は残る
- 遺言者本人が法務局に出向く必要がある(高齢や病気で外出が難しい場合は利用できない)
遺言書の書き方と注意点
自筆証書遺言の書き方
基本的な書き方
遺言書
私、山田太郎は、次のとおり遺言する。
第1条 私の所有する下記の不動産を、妻山田花子に相続させる。
所在:北九州市小倉北区○○町○丁目
地番:123番4
地目:宅地
地積:150.00平方メートル
所在:同上
家屋番号:123番4
種類:居宅
構造:木造瓦葺2階建
床面積:1階 60.00平方メートル
2階 50.00平方メートル
第2条 私の所有する下記の預貯金を、長男山田一郎に相続させる。
○○銀行小倉支店 普通預金 口座番号1234567
第3条 私の所有する下記の預貯金を、次男山田二郎に相続させる。
△△銀行八幡支店 普通預金 口座番号7654321
第4条 その他一切の財産は、妻山田花子に相続させる。
第5条 この遺言の執行者として、妻山田花子を指定する。
以上
令和○年○月○日
北九州市小倉北区○○町○丁目○番○号
遺言者 山田太郎 ㊞
記載のポイント
日付は正確に
「令和○年○月吉日」など、日付が特定できない記載は無効です。必ず具体的な日付を記載します。
財産は特定して記載
不動産は登記事項証明書のとおりに正確に記載します。預貯金は銀行名、支店名、口座番号を記載します。
「相続させる」と「遺贈する」の違い
相続人に財産を渡す場合は「相続させる」、相続人以外の人に渡す場合は「遺贈する」と記載します。
遺言執行者を指定
遺言執行者を指定しておくと、相続手続きがスムーズに進みます。配偶者や信頼できる相続人、または専門家(弁護士、司法書士、税理士など)を指定します。
遺言書作成時の注意点
遺留分に配慮する
遺留分とは、一定の相続人に保障されている最低限の相続分です。遺言で遺留分を侵害すると、遺留分権利者から遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。
遺留分の割合
| 相続人 | 遺留分 | |------|------| | 配偶者のみ | 1/2 | | 配偶者と子 | 配偶者1/4、子全体で1/4 | | 子のみ | 1/2 | | 配偶者と父母 | 配偶者1/3、父母全体で1/6 | | 父母のみ | 1/3 |
例
相続人:配偶者と子2人 遺言内容:配偶者に全財産を相続させる
各子の遺留分:1/4 ÷ 2人 = 1/8
子は、遺留分1/8を侵害されているため、配偶者に対して遺留分侵害額請求ができます。
遺留分対策
- 遺留分を侵害しない内容にする
- 生命保険で代償金を準備する
- 生前に遺留分権利者と話し合う
- 「付言事項」で遺言の理由を説明する
付言事項を記載する
付言事項とは、遺言書に記載する法的効力のないメッセージです。遺言の理由や家族への思いを記載することで、相続人の理解を得やすくなります。
例
(付言事項)
長男太郎には、長年事業を手伝ってもらい、大変感謝しています。事業を引き継いでもらうため、事業用資産を多く相続させることとしました。次男次郎、長女花子には申し訳ないですが、私の思いを理解してください。
定期的に見直す
遺言書は一度作成したら終わりではありません。財産の状況や家族関係が変わった場合、遺言書を見直す必要があります。
見直しが必要なケース
- 財産の内容が大きく変わった
- 相続人が増えた(孫が生まれたなど)
- 相続人が亡くなった
- 受遺者が亡くなった
- 離婚・再婚した
- 気持ちが変わった
書き直しの方法
自筆証書遺言は、新しい遺言書を作成すれば、古い遺言書は自動的に無効になります(日付の新しい遺言が有効)。古い遺言書は破棄しておくと混乱を防げます。
公正証書遺言も、新たに公正証書遺言を作成することで書き直せます。
北九州での遺言書作成サポート
遺言書の作成は、専門家のサポートを受けることで、より確実で効果的な内容にできます。北九州市内でも、様々な専門家が遺言書作成のサポートを提供しています。
税理士のサポート
税理士に相談するメリット
税理士は、相続税の専門家として、税務面からのアドバイスを提供します。
サポート内容
- 相続税のシミュレーション
- 遺言内容による税額の違いの説明
- 節税に配慮した遺言内容の提案
- 遺産分割方法のアドバイス
- 相続税申告の見通し
税理士への相談が特に有効なケース
- 相続税がかかる見込みがある
- 節税対策を検討したい
- 事業承継を予定している
- 不動産など評価が複雑な財産がある
北九州市内の税理士への相談
北九州市内には、相続税に強い税理士事務所が多数あります。地域の不動産事情に詳しい税理士に相談することで、適切な財産評価と節税対策が可能になります。
弁護士のサポート
弁護士に相談するメリット
弁護士は、法律の専門家として、遺言の法的側面からサポートします。
サポート内容
- 遺言書の文案作成
- 遺留分への配慮
- 遺言執行者への就任
- 相続トラブルの予防
- 特殊な事情への対応
弁護士への相談が特に有効なケース
- 相続人の仲が悪い
- 遺留分が問題になりそう
- 複雑な家族関係がある
- 相続人以外に財産を残したい
- 事業承継で株式を分散させたくない
司法書士のサポート
司法書士に相談するメリット
司法書士は、登記の専門家として、不動産に関する遺言のサポートが得意です。
サポート内容
- 遺言書の文案作成
- 公正証書遺言作成の手続きサポート
- 不動産の調査
- 遺言執行者への就任
- 相続登記の見通し
司法書士への相談が特に有効なケース
- 不動産が主な財産
- 公正証書遺言を作成したい
- 遺言執行者を専門家に依頼したい
専門家の選び方
複数の専門家に相談する
遺言書作成は、税務、法律、登記など多岐にわたる知識が必要です。税理士、弁護士、司法書士が連携している事務所であれば、ワンストップでサポートを受けられます。
北九州市内での選び方のポイント
- 相続の実績が豊富
- 地域の不動産事情に詳しい
- 説明が分かりやすい
- 費用が明確
- 初回相談が無料または低料金
費用の目安
税理士
- 相続税シミュレーション:5〜10万円程度
- 遺言内容のアドバイス:3〜5万円程度
弁護士
- 遺言書文案作成:10〜30万円程度
- 遺言執行者報酬:遺産総額の1〜2%程度
司法書士
- 遺言書文案作成:5〜15万円程度
- 公正証書遺言作成サポート:5〜10万円程度
公正証書遺言作成の流れ(北九州)
北九州市内で公正証書遺言を作成する場合の具体的な流れをご紹介します。
ステップ1:専門家への相談(任意)
まず、税理士や弁護士などの専門家に相談し、遺言の内容を検討します。
検討すべき事項
- 誰に何を相続させるか
- 遺留分への配慮
- 相続税の試算
- 節税対策の提案
ステップ2:公証役場への連絡
北九州市内には、複数の公証役場があります。
北九州市内の主な公証役場
- 小倉公証役場(小倉北区)
- 八幡公証役場(八幡西区)
公証役場に電話で連絡し、公正証書遺言を作成したい旨を伝えます。
ステップ3:必要書類の準備
公証人から指示された書類を準備します。
一般的な必要書類
- 遺言者の印鑑証明書
- 遺言者の戸籍謄本
- 財産を受け取る人の戸籍謄本または住民票
- 不動産の登記事項証明書、固定資産税評価証明書
- 預貯金通帳のコピーまたは残高証明書
- その他財産に関する資料
ステップ4:公証人との打ち合わせ
公証役場で公証人と打ち合わせを行います。遺言の内容を伝え、公証人が遺言書の文案を作成します。
ステップ5:証人2名の手配
証人を2名手配します。専門家に依頼している場合、専門家が証人を手配してくれることもあります。
ステップ6:遺言書の作成
予約した日時に、遺言者、公証人、証人2名が公証役場に集まり、遺言書を作成します。
当日の流れ
- 公証人が遺言書を読み上げる
- 遺言者と証人が内容を確認
- 遺言者と証人が署名・押印
- 公証人が署名・押印
- 完成
遺言書は3通作成され、原本は公証役場に保管、正本と謄本は遺言者に交付されます。
ステップ7:遺言書の保管
正本は遺言執行者に渡すか、自宅の金庫などに保管します。謄本は別の場所に保管すると安心です。
遺言書があると相続手続きはどう変わるか
遺言書がある場合、相続手続きは大幅にスムーズになります。
遺産分割協議が不要
遺言書がある場合、原則として遺産分割協議は不要です。遺言書のとおりに財産を分けます。
遺言書がない場合
- 相続人全員で遺産分割協議
- 全員の合意が必要
- 協議がまとまらないと手続きが進まない
遺言書がある場合
- 遺言書のとおりに分ける
- 相続人全員の合意は不要
- 速やかに手続きが進む
不動産の名義変更がスムーズ
公正証書遺言があれば、遺言書を添付するだけで、単独で相続登記ができます。
必要書類
- 遺言書(公正証書遺言の場合、検認不要)
- 被相続人の死亡が記載された戸籍謄本
- 不動産を取得する相続人の戸籍謄本
- 不動産を取得する相続人の住民票
遺産分割協議書や相続人全員の印鑑証明書は不要です。
銀行口座の解約が早い
遺言書があれば、相続人全員の同意なしに預金を引き出せます。
遺言書がない場合
- 相続人全員の同意が必要
- 相続人全員の印鑑証明書が必要
- 手続きに数週間かかる
遺言書がある場合
- 遺言書を提示
- 単独で手続き可能
- 手続きが早い
まとめ
遺言書は、自分の意思を確実に実現し、相続人間のトラブルを防ぐための重要な書面です。自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があり、最も確実なのは公正証書遺言です。2020年からは自筆証書遺言の保管制度も始まり、選択肢が増えました。
遺言書を作成する際は、遺留分への配慮、財産の特定、遺言執行者の指定など、様々な点に注意が必要です。税務面からのアドバイスが必要な場合は税理士、法律面からのサポートが必要な場合は弁護士、不動産の登記が中心の場合は司法書士に相談することをお勧めします。
北九州市内で遺言書の作成をお考えの方は、地域の事情に精通した専門家に早めに相談し、ご家族の状況に合わせた最適な遺言書を作成しましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な遺言書の作成については、弁護士、司法書士、税理士などの専門家にご相談ください。
