BLOGブログ

12月決算法人のための決算前節税対策チェックリスト|北九州の税理士が解説

2025-12-12
  • 税務実務

12月決算の法人にとって、年末は決算対策の最後のチャンスです。決算月を迎える前に適切な対策を講じることで、法人税の負担を適正な範囲で軽減できます。ただし、節税対策は「利益を減らす」ことが目的ではなく、「将来の投資や経営基盤の強化に資金を有効活用する」という視点が大切です。北九州の税理士として、私たちの事務所では毎年この時期、12月決算の顧問先様と決算前の打ち合わせを行い、最適な対策をご提案しています。本記事では、決算前に検討すべき節税対策をチェックリスト形式でご紹介します。

決算前に利益の着地見込みを確認する

節税対策を検討する前に、まず今期の利益がどの程度になりそうかを把握することが重要です。11月末時点の試算表をもとに、12月の売上・経費見込みを加味して、税引前利益の着地見込みを算出します。この数字がなければ、どの程度の対策が必要かを判断できません。

利益が予想以上に出ている場合は節税対策の余地がありますが、利益がギリギリの場合に無理な節税対策を講じると、資金繰りを圧迫する恐れがあります。節税のために不要な支出をするのは本末転倒です。当事務所では、利益の見込みと資金繰りの両面から、お客様にとって最適な対策をご提案しています。

経費の前倒し計上

消耗品・備品の購入

業務に必要な消耗品や備品を、決算前に購入することで経費として計上できます。取得価額が10万円未満のものは全額をその期の経費にできます。また、青色申告法人で資本金1億円以下の中小企業者等であれば、取得価額30万円未満の資産について、年間合計300万円まで全額経費にできる「少額減価償却資産の特例」を活用できます。

ただし、決算対策のためだけに不要なものを購入することは避けるべきです。来期以降に購入予定だったパソコンやオフィス家具などを前倒しで購入する、という考え方が適切です。購入したものが実際に事業に使用されていることが前提ですので、使用実態のないものは経費として認められない可能性があります。

修繕費の実施

建物や設備の修繕を予定している場合、決算前に実施することで今期の経費にできます。雨漏り修理、外壁塗装、エアコンの修理など、原状回復のための修繕は修繕費として全額経費計上できます。ただし、機能の向上や耐用年数の延長につながる工事は「資本的支出」となり、資産計上して減価償却する必要があります。修繕費と資本的支出の判断は複雑なため、工事内容を税理士に確認することをお勧めします。

広告宣伝費・研修費の前倒し

来期の広告宣伝を今期中に発注・実施することも検討できます。ホームページのリニューアル、パンフレットの作成、Web広告の出稿などが該当します。また、従業員の研修やセミナー参加を年内に実施すれば、今期の経費になります。ただし、翌期以降のサービス提供に対する前払いは、原則として「前払費用」として資産計上されるため、注意が必要です。

役員報酬・賞与の検討

決算賞与の支給

従業員への決算賞与は、一定の要件を満たせば未払計上でも当期の損金(経費)として認められます。具体的には、期末までに各従業員に支給額を通知し、決算日の翌日から1か月以内に実際に支給する必要があります。従業員のモチベーション向上にもつながるため、利益が出ている場合は有効な対策です。

注意が必要なのは、役員賞与については原則として損金にならないという点です。役員賞与を損金算入するには、事前確定届出給与として所定の届出を事前に行う必要があります。決算間際に役員に賞与を支給しても、法人税の節税にはなりません。

役員報酬の見直し(来期に向けて)

役員報酬は、期首から3か月以内に決定した金額を毎月同額で支給する「定期同額給与」でなければ損金として認められません。そのため、今期中に役員報酬を変更することは原則できません。ただし、来期の利益予測をもとに、来期の役員報酬を適切な水準に設定することは重要な検討事項です。決算の着地見込みが見えた段階で、来期の役員報酬の見直しを検討しましょう。

保険・共済の活用

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)

中小企業倒産防止共済の掛金は、全額を損金に算入できます。月額掛金は5,000円から20万円まで設定でき、年間で最大240万円を経費計上できます。ただし、掛金の累計上限は800万円と定められており、上限に達すると掛金の積立ができなくなります。また、前納制度を利用すれば、翌年度分の掛金を一括で前払いすることも可能です。取引先の倒産に備えるリスク管理としての意味もあり、節税と経営安定の両面で有効な制度です。ただし、加入後40か月未満で解約すると掛金の全額が戻らない場合があるため、長期的な視点で加入を検討してください。

小規模企業共済

小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の役員が加入できる退職金制度です。掛金は月額1,000円から70,000円まで設定でき、全額が所得控除の対象となります。法人の経費にはなりませんが、役員個人の所得税・住民税の節税に効果があります。年末までに加入し、年内に掛金を支払えば、その年の所得控除として活用できます。

設備投資の検討

中小企業経営強化税制の活用

一定の要件を満たす設備投資を行った場合、「中小企業経営強化税制」により即時償却または税額控除を受けられる場合があります。即時償却を選択すれば、設備の取得価額を全額その期の経費にできます。税額控除を選択した場合は、取得価額の7%(資本金3,000万円以下の場合は10%)を法人税額から直接控除できます。ただし、適用を受けるには事前に経営力向上計画の認定を受ける必要があるため、早めの準備が必要です。

リース取引の活用

高額な設備投資が難しい場合、リース取引の活用も検討できます。リース料は毎月の経費として処理でき、資金繰りの平準化にも効果があります。ただし、所有権移転ファイナンスリースや所有権移転外ファイナンスリースなど、リースの種類によって会計・税務上の取り扱いが異なります。リース契約の内容を税理士に確認し、最適な方法を選択しましょう。

貸倒損失・貸倒引当金の検討

回収不能な売掛金の整理

得意先の倒産や支払能力の喪失により、回収が見込めない売掛金がある場合は、貸倒損失として処理できる可能性があります。ただし、貸倒損失の計上には厳格な要件があり、単に「回収が難しそう」というだけでは認められません。法的な債権放棄の通知を行うか、相手先の資産状況や支払能力を客観的に確認する必要があります。回収不能な債権がある場合は、税理士に要件を確認した上で処理を行いましょう。

貸倒引当金の計上

中小企業は、売掛金等の金銭債権に対して貸倒引当金を計上し、損金算入できます。一括評価による貸倒引当金は、期末の金銭債権残高に法定繰入率を乗じて計算します。業種ごとに繰入率が定められており、製造業は8/1000、卸売・小売業は10/1000、その他は6/1000などとなっています。個別に回収懸念のある債権がある場合は、個別評価による貸倒引当金も検討できます。

在庫の見直し

決算日の在庫棚卸は、正確に行う必要があります。長期間滞留している在庫や、品質劣化・破損した在庫がある場合は、評価損の計上が検討できます。ただし、在庫の評価損が認められるのは、物理的な劣化や法的な滅失がある場合、あるいは正常な取引条件での販売ができない場合に限られます。単に売れ残っているだけでは評価損は認められないため、注意が必要です。不良在庫の処分(廃棄や値引き販売)を決算前に実施することで、在庫評価額を適正に減少させることができます。

決算期の変更の検討

12月決算が事業の繁忙期と重なり、決算作業が負担になっている場合は、決算期の変更も選択肢です。決算期の変更は株主総会の決議で行え、税務署等へ届出を提出するだけで手続きは完了します。変更後は、変更日までの短い事業年度で一度決算を行う必要がありますが、その後は新しい決算期で毎年決算を行えます。ただし、決算期の変更にはメリットとデメリットがあるため、慎重に検討する必要があります。

まとめ:計画的な節税対策で経営を強化する

決算前の節税対策は、思いつきで行うのではなく、計画的に検討することが重要です。利益の着地見込みを正確に把握した上で、自社に適した対策を選択しましょう。また、節税対策はあくまで手段であり、目的は企業の経営基盤を強化し、持続的な成長を実現することです。

私たちの事務所では、12月決算の法人様に対して、11月から決算前の打ち合わせを行い、最適な節税対策をご提案しています。北九州市内の法人経営者の皆様、決算対策でお悩みのことがあれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。初回のご相談は無料で承っております。

※本記事は一般的な税務情報の提供を目的としています。個別の状況に応じた対応については、税理士にご相談ください。

現在弊社では、ZOOMを利用したオンラインによる面談を行っております。
© 税理士 富下会計事務所