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法人税とは?個人事業主との税負担の違いを徹底比較
2025-07-10
- 法人税
- 個人事業主
法人税とは?個人事業主が知っておくべき基礎知識
法人税は、株式会社や合同会社などの法人が稼いだ利益(所得)に対して課される税金です。個人事業主が支払う所得税とは、税率構造や計算方法が大きく異なります。
法人税の特徴は、税率が一定であることです。現在、資本金 1 億円以下の中小法人の場合、年 800 万円以下の所得に対しては 15%、800 万円を超える部分には 23.2%の税率が適用されます。一方、個人事業主の所得税は累進課税となっており、所得が増えるほど税率が上がり、最高で 45%に達します。
この違いは、事業規模が大きくなるほど顕著に現れます。例えば、年間所得が 1,000 万円を超える場合、法人化による節税効果が期待できるケースが多くなります。
個人事業主と法人の税負担を具体的に比較
年間所得 500 万円のケース
個人事業主の場合、所得税と住民税を合わせた実効税率は約 20 ~ 30%程度になります。青色申告特別控除 65 万円を適用しても、手取り額は 350 万円前後となることが一般的です。
一方、法人の場合は法人税率 15%に加え、地方法人税、法人住民税、法人事業税を含めても実効税率は約 25%程度に収まります。さらに、役員報酬として給与を受け取ることで、給与所得控除が適用され、個人の税負担をさらに軽減できる可能性があります。
年間所得 1,500 万円のケース
このレベルになると、法人化のメリットがより明確になります。個人事業主の場合、所得税率は 33%(住民税を含めると 43%)に達し、税負担は 600 万円を超えることもあります。
法人化した場合、法人税等の実効税率は約 30%程度で済み、さらに役員報酬の設定次第で、トータルの税負担を 400 万円台に抑えることも可能です。この差額は、事業の再投資や内部留保として活用できます。
経費計上の違いが生む節税効果
法人と個人事業主では、経費として認められる範囲にも違いがあります。
法人で認められやすい経費の例:
- 役員への退職金(適正額の範囲内)
- 社宅の家賃(一定の条件下)
- 生命保険料(法人契約の場合)
- 出張日当
- 社用車の維持費全額
個人事業主の場合、プライベートとの線引きが厳格に求められますが、法人では事業目的が明確であれば、より幅広い経費計上が認められる傾向があります。
社会保険料の負担も考慮すべき重要ポイント
法人化すると、代表者も厚生年金と健康保険への加入が義務付けられます。保険料は会社と個人で折半しますが、会社負担分は経費計上できるため、実質的な節税効果があります。
個人事業主の国民年金・国民健康保険と比較すると、厚生年金は将来の年金受給額が手厚くなるメリットもあります。ただし、月々の保険料負担は増加するため、キャッシュフローへの影響を考慮する必要があります。
法人化を検討するタイミングの目安
一般的に、以下のような状況では法人化を検討する価値があります:
- 年間所得が 800 万円を超えている
- 取引先から法人化を求められている
- 事業拡大のための資金調達を検討している
- 従業員の採用を計画している
- 事業承継を視野に入れている
ただし、法人化には設立費用や維持コスト(決算申告の税理士報酬など)もかかるため、単純な税率比較だけでなく、総合的な判断が必要です。
まとめ:専門家への相談で最適な選択を
法人税と所得税の違いは複雑で、個々の事業状況により最適な選択は異なります。売上規模、利益率、将来の事業計画、家族構成など、様々な要因を総合的に検討する必要があります。
法人化のタイミングや、法人化後の税務戦略については、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。適切なアドバイスを受けることで、無駄な税負担を避け、事業の成長に資金を振り向けることが可能になります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断については、必ず税理士などの専門家にご相談ください。