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年末調整の収入金額とは?所得金額との違いを分かりやすく解説

2025-11-01
  • 年末調整
  • 所得税

収入金額とは何か

年末調整における「収入金額」とは、税金や社会保険料が差し引かれる前の総支給額のことです。会社から支払われる給料やボーナスの額面金額の合計が収入金額となります。

収入金額に含まれるもの:

  • 基本給
  • 各種手当(通勤手当を除く)
  • 賞与(ボーナス)
  • 残業代
  • 役職手当

収入金額に含まれないもの:

  • 通勤手当(一定額まで非課税)
  • 社会保険料の本人負担分
  • 所得税・住民税

収入金額は、源泉徴収票の「支払金額」欄に記載される金額です。

所得金額とは何か

「所得金額」とは、収入金額から必要経費を差し引いた後の金額です。給与所得者の場合、「給与所得控除」という一律の経費が認められており、収入金額から給与所得控除額を差し引いたものが所得金額となります。

計算式:

所得金額 = 収入金額 - 給与所得控除額

所得金額は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄に記載されます。

収入金額と所得金額の違いを図解で理解

【収入金額(額面)】
    ↓
  給与所得控除を差し引く
    ↓
【所得金額】
    ↓
  所得控除を差し引く(基礎控除、配偶者控除等)
    ↓
【課税所得】
    ↓
  税率を掛ける
    ↓
【所得税額】

このように、収入金額から段階的に控除を行い、最終的な税額が計算されます。

給与所得控除額の計算方法

給与所得控除額は、収入金額に応じて以下の計算式で求めます(令和2年分以降):

収入金額              給与所得控除額
─────────────────────────────────
162.5万円以下         55万円
162.5万円超180万円以下 収入金額 × 40% - 10万円
180万円超360万円以下   収入金額 × 30% + 8万円
360万円超660万円以下   収入金額 × 20% + 44万円
660万円超850万円以下   収入金額 × 10% + 110万円
850万円超            195万円(上限)

具体的な計算例

例1:年収300万円の場合

給与所得控除額 = 300万円 × 30% + 8万円 = 98万円
所得金額 = 300万円 - 98万円 = 202万円

例2:年収500万円の場合

給与所得控除額 = 500万円 × 20% + 44万円 = 144万円
所得金額 = 500万円 - 144万円 = 356万円

例3:年収1,000万円の場合

給与所得控除額 = 195万円(上限)
所得金額 = 1,000万円 - 195万円 = 805万円

配偶者控除・配偶者特別控除の収入要件

配偶者控除や配偶者特別控除の適用可否は、配偶者の「合計所得金額」で判定されます。給与所得のみの場合、収入金額から逆算できます。

配偶者控除の要件

配偶者の合計所得金額:48万円以下

給与収入のみの場合:

所得金額48万円以下 = 収入金額103万円以下
(103万円 - 55万円 = 48万円)

これが俗に言う「103万円の壁」です。

配偶者特別控除の要件

配偶者の合計所得金額:48万円超133万円以下

給与収入のみの場合:

所得金額48万円超133万円以下 = 収入金額103万円超201.6万円未満

配偶者の収入が103万円を超えても、201.6万円未満であれば、配偶者特別控除が受けられます(控除額は段階的に減少)。

扶養控除の収入要件

扶養親族(子や親など)の要件も、「合計所得金額」で判定されます。

扶養親族の所得要件

合計所得金額:48万円以下

給与収入のみの場合:

所得金額48万円以下 = 収入金額103万円以下

子どものアルバイト収入が年103万円を超えると、扶養控除が受けられなくなります。

19歳以上23歳未満の特定扶養親族

大学生の子などが該当し、通常の扶養控除(38万円)より高い控除額(63万円)が適用されます。ただし、所得要件は同じく48万円以下です。

社会保険の収入要件(年収の壁)

税制とは別に、社会保険の扶養要件にも収入基準があります。

106万円の壁

以下の要件をすべて満たすパート・アルバイトは、勤務先の社会保険に加入義務があります:

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 月額賃金が88,000円以上(年収約106万円)
  • 雇用期間が2か月超見込み
  • 学生でない
  • 従業員数101人以上の企業(令和6年10月から)

130万円の壁

年収130万円以上になると、配偶者の扶養から外れ、自分で国民年金・国民健康保険に加入する必要があります。

年末調整での収入金額の確認方法

給与明細から集計

年末調整では、1月から12月までの給与・賞与の総額を集計します。

集計方法:

  1. 毎月の給与明細の総支給額を合計
  2. 賞与(ボーナス)の総支給額を合計
  3. 1と2を合算

通勤手当(非課税限度額内)は除外して計算します。

源泉徴収票での確認

前職がある場合、前職の源泉徴収票の「支払金額」を現職の給与と合算します。

中途入社の場合:

年間収入金額 = 前職の支払金額 + 現職の支払金額

前職の源泉徴収票を提出しないと、正確な年末調整ができません。

収入金額が判定に使われる場面

配偶者控除等申告書の記入

配偶者控除や配偶者特別控除を受けるには、「給与所得者の配偶者控除等申告書」に配偶者の収入金額を記入します。

記入手順:

  1. 配偶者の収入金額(見積額)を記入
  2. 給与所得控除額を計算
  3. 所得金額を算出
  4. 控除額の区分を判定

扶養控除等申告書の記入

扶養親族の所得要件を確認するため、扶養親族の収入金額を把握します。

学生の子の収入確認:

  • アルバイト収入が103万円以下か確認
  • 103万円を超える場合は扶養から外す

よくある質問と誤解

交通費(通勤手当)は収入に含まれるか

非課税限度額内の通勤手当は、収入金額に含まれません。

非課税限度額:

  • 電車・バス:月15万円まで
  • マイカー通勤:距離に応じて(最大月31,600円)

限度額を超える部分は、収入金額に含まれます。

失業保険は収入に含まれるか

雇用保険の失業給付は、非課税所得のため収入金額に含まれません。配偶者控除や扶養控除の判定にも影響しません。

副業の収入はどう扱うか

給与所得の副業: 本業と副業の給与を合算した金額が収入金額となります。

給与以外の副業(雑所得等): 給与収入とは別に計算し、合計所得金額に加算します。

収入金額と手取り額の違い

手取り額とは

手取り額は、収入金額から以下を差し引いた実際の受取額です:

差引項目:

  • 社会保険料(健康保険、厚生年金、雇用保険)
  • 所得税
  • 住民税

計算式:

手取り額 = 収入金額 - 社会保険料 - 所得税 - 住民税

手取りと収入の乖離

一般的に、手取り額は収入金額の75~85%程度になります。

年収500万円の場合の概算:

社会保険料:約70万円(14%)
所得税:約15万円(3%)
住民税:約25万円(5%)
手取り:約390万円(78%)

年末調整における収入金額の重要性

税額計算の基礎

収入金額は、所得税額を計算する出発点です。正確な収入金額の把握が、正確な税額計算につながります。

各種控除の判定基準

配偶者控除、扶養控除、勤労学生控除など、多くの控除の適用要件が収入金額(所得金額)で判定されます。

住民税への影響

年末調整のデータは市区町村に送られ、翌年度の住民税計算に使用されます。収入金額の誤りは、住民税にも影響します。

収入金額の申告における注意点

見積額と確定額の違い

年末調整時点では、12月の給与が未確定の場合があります。この場合、見積額で申告し、確定後に過不足を精算します。

副業がある場合の確定申告

年末調整は主たる給与のみで行います。副業の給与や事業所得がある場合は、確定申告が必要です。

中途退職の場合

年の途中で退職し、年内に再就職しなかった場合、退職した会社では年末調整を受けられません。確定申告により還付を受けられる可能性があります。

まとめ:収入金額と所得金額の正しい理解が重要

年末調整における収入金額と所得金額の違いを理解することは、正確な税額計算と各種控除の適用判定に不可欠です。収入金額は税金等を差し引く前の総支給額、所得金額は給与所得控除を差し引いた後の金額という基本を押さえましょう。

配偶者控除や扶養控除の判定では、「103万円の壁」など、収入金額基準が重要な役割を果たします。年末調整の申告書を記入する際は、自分や家族の正確な収入金額を把握し、適切に申告することで、税負担の最適化が図れます。

不明な点がある場合は、会社の経理担当者や税理士に相談し、正確な申告を行いましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税額計算や控除の適用については、最新の税制を確認し、必要に応じて税理士等の専門家にご相談ください。

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