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年末調整とは?初心者向けに仕組みと流れを簡単に解説

2025-10-31
  • 年末調整
  • 所得税

年末調整とは何か?

年末調整とは、会社が従業員の1年間の所得税を正しく計算し直し、給与から天引きした税金の過不足を精算する手続きです。会社員やパート・アルバイトの方なら、毎年12月頃に書類を提出し、1~2万円程度の還付金を受け取った経験があるのではないでしょうか。

年末調整は、会社が従業員に代わって税務署に申告を行う仕組みです。これにより、ほとんどの給与所得者は自分で確定申告をする必要がなくなります。

年末調整の3つのポイント:

  1. 会社が従業員の代わりに所得税を計算し直す
  2. 毎月の給与から天引きされた税金の過不足を精算する
  3. 多くの場合、払いすぎた税金が還付される

なぜ年末調整が必要なのか

毎月の源泉徴収は概算額

会社は毎月の給与から所得税を天引き(源泉徴収)していますが、これはあくまで概算の金額です。正確な税額は、1年間の給与総額が確定しないと計算できません。

毎月の源泉徴収が概算になる理由:

  • 年間の給与総額が未確定
  • ボーナスの変動
  • 扶養家族の増減
  • 保険料控除などの各種控除が未考慮

各種控除を反映する必要がある

所得税の計算では、以下のような控除が認められています:

  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 住宅ローン控除(2年目以降)
  • 配偶者控除・扶養控除
  • 基礎控除

これらの控除を反映して正しい税額を計算するのが年末調整です。

年末調整の対象となる人

年末調整を受けられる人

以下の条件を満たす人が年末調整の対象です:

基本的な対象者:

  • 会社に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人
  • 12月31日時点で在籍している人
  • 年間の給与総額が2,000万円以下の人

パート・アルバイトでも、上記の条件を満たせば年末調整を受けられます。

年末調整を受けられない人

以下の場合は年末調整の対象外となり、自分で確定申告が必要です:

  • 年間給与が2,000万円を超える人
  • 年の途中で退職し、12月31日時点で在籍していない人
  • 2か所以上から給与を受けている人(メインの勤務先でのみ年末調整可能)
  • 副業の所得が20万円を超える人(年末調整後に確定申告が必要)

年末調整の時期とスケジュール

会社からの案内(10月~11月)

通常、10月~11月頃に会社から年末調整の案内と必要書類が配布されます。

配布される書類:

  1. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  2. 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
  3. 給与所得者の保険料控除申告書

書類の提出期限(11月中旬~12月上旬)

会社が指定する期限(通常11月末~12月上旬)までに、必要書類を提出します。

提出時に添付する書類:

  • 生命保険料控除証明書
  • 地震保険料控除証明書
  • 国民年金保険料控除証明書(該当者のみ)
  • 住宅ローン控除の書類(2年目以降)

年末調整の実施(12月の給与支給時)

会社が年末調整の計算を行い、通常12月の給与支給時に過不足を精算します。

還付される場合: 12月の給与に上乗せして還付金が支払われます。

追加徴収される場合: 12月の給与から不足分が差し引かれます(まれなケース)。

源泉徴収票の交付(12月~翌年1月)

年末調整が完了すると、「源泉徴収票」が交付されます。これは1年間の給与と税額を証明する重要な書類です。

年末調整で提出する書類

扶養控除等申告書

記載内容:

  • 本人の基本情報
  • 配偶者の有無と情報
  • 扶養親族(子や親など)の情報
  • 障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除の有無

この書類を提出することで、扶養控除や配偶者控除が適用されます。

基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

3つの申告が1枚の用紙にまとまっています:

  1. 基礎控除申告書 - 本人の所得金額を記入(基礎控除48万円の適用)
  2. 配偶者控除等申告書 - 配偶者の所得を記入(配偶者控除・配偶者特別控除の適用)
  3. 所得金額調整控除申告書 - 扶養親族が特別障害者の場合などに記入

保険料控除申告書

記載内容:

  • 生命保険料控除(一般・介護医療・個人年金)
  • 地震保険料控除
  • 社会保険料控除(国民年金等を自分で支払った場合)
  • 小規模企業共済等掛金控除(iDeCoなど)

保険料控除証明書を添付して提出します。

年末調整で受けられる控除

所得控除

主な所得控除:

  • 基礎控除:48万円(所得2,400万円以下の場合)
  • 配偶者控除:最大38万円
  • 配偶者特別控除:最大38万円(段階的に減少)
  • 扶養控除:1人38万円~63万円
  • 生命保険料控除:最大12万円
  • 地震保険料控除:最大5万円
  • 社会保険料控除:支払額全額
  • 小規模企業共済等掛金控除:支払額全額

税額控除

年末調整で受けられる税額控除:

  • 住宅ローン控除(2年目以降)
  • 調整控除(住民税)

税額控除は、所得控除とは異なり、計算された税額から直接差し引かれるため、節税効果が大きい控除です。

還付金の仕組み

なぜ還付金が発生するのか

還付金が発生する主な理由:

  1. 毎月の源泉徴収が多めに設定されている - 税金の取りっぱぐれを防ぐため、やや多めに天引きされている
  2. 各種控除が反映されていない - 保険料控除や扶養家族の控除が毎月の給与では考慮されていない
  3. 賞与の源泉徴収 - ボーナスからも税金が天引きされるが、年間で見ると払いすぎになることが多い

還付金の目安

還付金の額は人によって異なりますが、一般的な目安:

年収300万円の場合: 1万円~3万円程度 年収500万円の場合: 2万円~5万円程度 年収700万円の場合: 3万円~7万円程度

生命保険料や地震保険料を多く支払っている場合、還付額は増加します。

還付金が少ない・ない場合

以下のような場合、還付金が少ないか、逆に追加徴収されることがあります:

  • 扶養家族が減った(子が就職した等)
  • 配偶者の収入が増えて控除対象外になった
  • 前年より給与が大幅に増加した
  • 副業の給与がある

年末調整でできないこと

年末調整では対応できず、確定申告が必要な場合があります:

確定申告が必要なケース

医療費控除: 1年間の医療費が10万円(または所得の5%)を超える場合

寄附金控除(ふるさと納税): ふるさと納税などの寄附をした場合(ワンストップ特例を使わない場合)

雑損控除: 災害や盗難で財産に損害を受けた場合

初年度の住宅ローン控除: 住宅を購入・新築した年は確定申告が必要(2年目以降は年末調整可能)

副業の所得: 副業の所得が20万円を超える場合

2か所以上からの給与: メインの勤務先以外の給与がある場合

年末調整の注意点

期限を守る

会社が指定する提出期限を過ぎると、年末調整を受けられない可能性があります。その場合、自分で確定申告が必要になります。

保険料控除証明書を紛失した場合

保険会社に連絡すれば、再発行してもらえます。ただし、時間がかかるため、早めに手配しましょう。

扶養親族の所得に注意

子や配偶者のアルバイト収入が103万円を超えると、扶養控除や配偶者控除が受けられなくなります。年末時点での見込み額を正確に把握しましょう。

前職の源泉徴収票

年の途中で転職した場合、前職の源泉徴収票を現職に提出する必要があります。提出しないと、正確な年末調整ができません。

年末調整後に変更があった場合

確定申告で修正可能

年末調整後に控除の申告漏れに気づいた場合、翌年の確定申告期間(2月16日~3月15日)に確定申告を行えば、還付を受けられます。

扶養家族の変更

年末調整後に扶養家族が増減した場合も、確定申告で修正できます。

まとめ:年末調整は税金の精算手続き

年末調整は、会社が従業員の代わりに行う所得税の精算手続きです。1年間の給与が確定した時点で、各種控除を反映した正しい税額を計算し、毎月の給与から天引きした税金の過不足を調整します。

多くの場合、払いすぎた税金が還付金として戻ってきます。必要書類を期限内に提出し、保険料控除証明書などを添付することで、適切な控除を受けられます。

年末調整でできない控除(医療費控除、ふるさと納税など)については、別途確定申告が必要です。年末調整と確定申告を適切に使い分けることで、税負担を最適化できます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な手続きや控除の適用については、勤務先の給与担当者や税理士等の専門家にご相談ください。

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