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売上はあるのにお金が残らない理由と改善策を徹底解説
2025-11-10
- 経理
- 税務実務
売上はあるのにお金が残らない理由
「売上はあるのにお金が残らない」という悩みは、多くの経営者が抱える問題です。原因は、損益計算書の利益と実際の現金の動きが一致しないためです。
よくある状況:
- 損益計算書では利益が出ている
- しかし、預金残高が増えない
- 毎月の資金繰りが苦しい
主な原因:
- 売掛金の回収遅延
- 在庫の過剰
- 借入金の返済
- 設備投資
- 経費の支払タイミング
売上とお金が一致しない理由
1. 売掛金の存在
売上 ≠ 現金
例:
12月の売上:300万円
→ 入金は3月(3か月後)
損益計算書:12月に売上300万円を計上
現金:3月まで入金なし
結果: 売上はあるが、現金は増えていない
2. 在庫の存在
仕入 = 現金の支出
例:
商品を100万円で仕入れ
→ 在庫として保管
→ まだ売れていない
損益計算書:売上原価には計上されない(在庫として資産計上)
現金:仕入代金100万円は支払済
結果: 現金は減っているが、損益計算書には反映されない
3. 減価償却費と実際の支出
減価償却費 ≠ 現金の支出
例:
機械を600万円で購入(耐用年数6年)
→ 減価償却費:年間100万円
現金:購入時に600万円支出
損益計算書:年間100万円のみ計上
結果: 現金は600万円減っているが、損益計算書には100万円しか反映されない
4. 借入金の返済
元金返済は損益計算書に計上されない
例:
借入金の返済:元金50万円 + 利息5万円
損益計算書:利息5万円のみ計上
現金:55万円減少
結果: 現金は55万円減っているが、損益計算書には5万円しか反映されない
お金が残らない具体的な原因
1. 売掛金が増え続けている
状況:
- 売上が増えているが、入金が遅い
- 売掛金がどんどん増えている
なぜお金が残らないのか:
- 売上は計上されているが、現金が入っていない
- 仕入代金や経費は現金で支払っている
対策:
- 回収サイトを短縮する
- 前受金を受け取る
- 回収遅延を防ぐ
2. 在庫が増え続けている
状況:
- 商品を大量に仕入れている
- 売れ残りが増えている
なぜお金が残らないのか:
- 仕入代金は現金で支払っている
- 在庫は売れるまで現金化できない
対策:
- 在庫を適正化する
- 不良在庫を処分する
- 在庫回転率を上げる
3. 借入金の返済負担が大きい
状況:
- 毎月の借入金返済が多い
- 返済後の手元資金が少ない
なぜお金が残らないのか:
- 元金返済は損益計算書に反映されない
- しかし、現金は減少する
対策:
- 返済計画を見直す
- リスケジュールを銀行に相談
- 新規借入で返済負担を軽減
4. 設備投資が多い
状況:
- 機械や車両を購入した
- 購入後、手元資金が減った
なぜお金が残らないのか:
- 購入代金は一括で支払っている
- しかし、損益計算書には減価償却費しか反映されない
対策:
- リースを活用する
- 分割払いを検討
- 設備投資の優先順位をつける
5. 経費の支払タイミング
状況:
- 前払いの経費が多い(家賃、保険料など)
- 売上の入金より先に経費を支払っている
なぜお金が残らないのか:
- 現金の支出が先行している
- 売上の入金が後になる
対策:
- 支払タイミングを調整
- 前払いを避ける
6. 利益が実は出ていない
状況:
- 損益計算書を正確に把握していない
- 実は赤字だった
なぜお金が残らないのか:
- 赤字なので、そもそも利益が出ていない
対策:
- 月次試算表を作成
- 損益を正確に把握
- 税理士に相談
お金を残すための改善策
1. 資金繰り表を作成する
内容:
- 毎月の現金の入出金を予測
- 現金残高を把握
作成方法:
【資金繰り表】
前月繰越:100万円
当月入金:500万円
当月出金:450万円
次月繰越:150万円
効果:
- 現金不足を事前に把握
- 早めに対策を立てられる
2. 売掛金の回収を早める
対策:
- 回収サイトを短縮(3か月 → 1か月)
- 前受金を受け取る
- 回収遅延を早期発見
効果:
- 現金の入金が早まる
- 資金繰りが改善
3. 在庫を減らす
対策:
- 不良在庫を処分
- 発注量を適正化
- 売れ筋商品に絞る
効果:
- 現金化が早まる
- 仕入代金の支出が減る
4. 経費を見直す
対策:
- 固定費を削減(家賃、人件費、保険料)
- 無駄な経費をカット
- 経費の優先順位をつける
効果:
- 支出が減る
- 手元資金が増える
5. 借入金の返済計画を見直す
対策:
- リスケジュール(返済期間の延長)
- 借入金の借り換え
- 返済負担を軽減
効果:
- 毎月の返済額が減る
- 手元資金が増える
6. 銀行融資を活用する
対策:
- 運転資金の借入
- つなぎ融資の活用
効果:
- 一時的な資金不足を解消
キャッシュフロー計算書の見方
キャッシュフロー計算書とは
内容: 現金の増減を、営業・投資・財務の3つに分けて表示
営業キャッシュフロー
内容: 本業での現金の増減
プラスの場合:
- 本業で現金が増えている(健全)
マイナスの場合:
- 本業で現金が減っている(要注意)
投資キャッシュフロー
内容: 設備投資などでの現金の増減
マイナスの場合:
- 設備投資をしている(通常)
財務キャッシュフロー
内容: 借入金や返済での現金の増減
プラスの場合:
- 借入金が増えている
マイナスの場合:
- 借入金を返済している
税理士に相談するメリット
「売上はあるのにお金が残らない」という悩みは、税理士に相談することで解決できます。
税理士のサポート内容:
- 資金繰り表の作成
- 損益とキャッシュフローの分析
- 資金繰り改善策の提案
- 銀行融資のサポート
- 月次試算表の作成と経営アドバイス
資金繰りに不安がある方は、早めに税理士に相談しましょう。
まとめ
売上があるのにお金が残らない原因は、売掛金の回収遅延、在庫の過剰、借入金の返済、設備投資などです。改善策として、資金繰り表の作成、売掛金の回収促進、在庫の適正化、経費の見直しが重要です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な資金繰り対策については、税理士に相談することをお勧めします。
