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決算直前に何をやるべきか?やることリストと節税対策を徹底解説
2025-11-09
- 法人税
- 税務実務
決算直前とは
決算直前とは、決算日の1〜2か月前を指します。この時期に適切な準備と対策を行うことで、スムーズな決算と適正な納税が可能になります。
決算直前の時期:
- 3月決算の場合:1月〜2月
- 12月決算の場合:10月〜11月
決算直前にやるべきこと:
- 利益予測の確認
- 節税対策
- 決算準備
- 税理士との打ち合わせ
決算直前にやることリスト
1. 利益予測の確認
やること:
- 決算日までの売上・経費を予測
- 当期純利益を試算
方法:
当期純利益の予測 = 現在までの利益 + 残り期間の予測利益
ポイント:
- 税理士に試算表を作成してもらう
- 利益が出すぎている場合は、節税対策を検討
- 赤字の場合は、利益改善策を検討
2. 棚卸資産の確認
やること:
- 期末の在庫を予測
- 不良在庫の処分を検討
不良在庫の処分:
- 売れない商品を値引き販売
- 廃棄処分(廃棄証明書を取得)
税務上の効果:
- 在庫を損金算入できる
- 利益を圧縮
3. 売掛金・貸付金の確認
やること:
- 回収不能な売掛金・貸付金を確認
- 貸倒損失として計上できるか検討
貸倒損失の要件:
- 取引先の倒産が確認できる
- 法的に回収不能と認められる
税務上の効果:
- 貸倒損失を損金算入できる
4. 減価償却費の確認
やること:
- 固定資産台帳を更新
- 当期取得した資産の減価償却費を計算
ポイント: 減価償却は任意ではなく、強制(法人税法上)
5. 30万円未満の資産の取得
中小企業の特例: 30万円未満の資産は、一括で損金算入可能(年間300万円まで)
決算直前の対策:
- 決算日までに必要な備品を購入
- パソコン、机、エアコンなど
注意:
- 決算日までに購入・納品が必要
- 注文だけでは不可
6. 役員退職金の検討
やること:
- 役員が退任する場合、退職金を支給
税務上の効果:
- 退職金は全額損金算入できる
- 大きな利益圧縮効果
注意点:
- 過大な退職金は否認される可能性
- 功績倍率法などで妥当性を確認
7. 決算賞与の支給
やること:
- 従業員に決算賞与を支給
損金算入の要件:
- 決算日までに従業員全員に通知
- 通知した金額を、決算日の翌月から1か月以内に支払う
- 決算日までに未払費用として計上
税務上の効果:
- 決算賞与を損金算入できる
8. 短期前払費用の活用
短期前払費用の特例: 1年以内のサービスの前払費用は、支払時に損金算入可能
例:
- 事務所家賃の年払い
- 保険料の年払い
決算直前の対策:
- 決算日までに、翌期1年分の費用を前払い
9. 交際費の確認
中小企業の特例: 年間800万円までの交際費は、全額損金算入可能
やること:
- 交際費が800万円を超えていないか確認
- 超えている場合、一部が損金不算入
10. 寄付金の確認
損金算入限度額: 寄付金には損金算入限度額があり、超過分は損金不算入
やること:
- 寄付金の金額を確認
- 限度額を超えていないか確認
11. 税務上の引当金・準備金の検討
中小企業が使える引当金・準備金:
- 貸倒引当金
- 退職給付引当金
やること:
- 税理士に相談して、活用できるか確認
12. 消費税の確認
やること:
- 課税売上高、課税仕入高を集計
- 消費税の納付額を計算
ポイント:
- 消費税の納付額は、法人税の計算に影響しない(別個の税金)
- ただし、税込経理の場合は、納付消費税が損金算入される
決算準備のチェックリスト
1. 帳簿の整理
やること:
- 領収証・請求書を月別に整理
- 記帳漏れがないか確認
2. 現金・預金残高の照合
やること:
- 現金出納帳の残高と実際の現金が一致しているか
- 帳簿の預金残高と通帳残高が一致しているか
3. 売掛金・買掛金の照合
やること:
- 売掛金の残高が請求書と一致しているか
- 買掛金の残高が仕入先の請求と一致しているか
4. 在庫の棚卸
やること:
- 決算日の在庫を実地棚卸
- 棚卸表を作成
5. 固定資産台帳の更新
やること:
- 当期取得した資産を固定資産台帳に追加
- 廃棄・売却した資産を除却処理
6. 前払費用・未払費用の計上
やること:
- 決算日をまたぐ費用を正しく処理
前払費用の例:
- 保険料(年払い)
- 家賃(前払い)
未払費用の例:
- 水道光熱費
- 外注費
決算直前の節税対策
1. 利益が多い場合
対策:
- 30万円未満の資産を購入
- 決算賞与を支給
- 短期前払費用を活用
- 不良在庫を処分
注意:
- 利益を極端にゼロにしない(銀行融資に影響)
2. 赤字の場合
対策:
- 不良在庫の処分を延期
- 減価償却費の計上を最小限に(任意ではない)
注意:
- 減価償却は強制なので、計上しないと税務否認のリスク
税理士との連携
1. 早めの打ち合わせ
やること:
- 決算日の2か月前には税理士と打ち合わせ
- 利益予測を確認
- 節税対策を相談
2. 必要書類の準備
税理士に渡すべき書類:
- 領収証・請求書
- 通帳のコピー
- 売上・仕入の明細
- 在庫の棚卸表
- 固定資産の取得・除却の資料
3. 決算スケジュールの確認
決算の流れ:
- 決算日の2か月前:税理士と打ち合わせ
- 決算日:在庫の棚卸
- 決算日の翌月:決算書の作成
- 決算日の2か月後:申告書の提出
決算直前にやってはいけないこと
1. 架空の経費計上
やってはいけないこと:
- 実際にはない取引を経費計上
- 領収証の改ざん
リスク:
- 税務調査で否認
- 重加算税(35%)
2. 過大な役員退職金
やってはいけないこと:
- 役員退職金を過大に計上
リスク:
- 税務調査で否認
- 過大部分が損金不算入
3. 決算日後の対策
やってはいけないこと:
- 決算日後に30万円未満の資産を購入
- 決算日後に決算賞与を支給
リスク:
- 当期の損金にならない
税理士に相談するメリット
決算直前の対策は、税理士に相談することで効果的に実施できます。
税理士のサポート内容:
- 利益予測の試算
- 適正な節税対策の提案
- 決算準備のサポート
- 決算書・申告書の作成
- 税務調査対策
決算直前は、早めに税理士に相談しましょう。
まとめ
決算直前にやるべきことは、利益予測の確認、棚卸資産の確認、30万円未満の資産の取得、決算賞与の支給などです。決算日の1〜2か月前から準備を始め、税理士と連携することが重要です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な決算対策については、税理士に相談することをお勧めします。
現在弊社では、ZOOMを利用したオンラインによる面談を行っております。
© 税理士 富下会計事務所
