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税務顧問とは?北九州の中小企業が税理士と顧問契約するメリット
2025-10-21
- 法人税
- 税務実務
- 経営
税務顧問とは
税務顧問とは、税理士と顧問契約を結び、継続的に税務や経営に関するサポートを受けることです。多くの中小企業が税理士と顧問契約を結び、月次での記帳指導、税務相談、決算申告などのサポートを受けています。
税務顧問は、単に税金の計算や申告を代行するだけでなく、経営全般のアドバイスを提供する企業コンサルティングの役割も担います。
税務顧問の主なサービス内容
- 月次決算の作成と財務状況の報告
- 税務相談への対応
- 決算申告書の作成と提出
- 節税対策の提案
- 経営アドバイス
- 税務調査への対応
税務顧問が必要な理由
- 税法は複雑で頻繁に改正される
- 適切な申告をしないとペナルティが課される
- 節税対策には専門知識が必要
- 経営判断に税務の視点が欠かせない
税務顧問契約の内容
税務顧問契約では、一般的に以下のサービスが提供されます。
1. 記帳指導・記帳代行
記帳指導
会社が自社で記帳を行う場合、税理士が記帳の方法を指導し、チェックします。
サービス内容
- 会計ソフトの導入サポート
- 記帳方法の指導
- 月次での記帳内容のチェック
- 間違いの指摘と修正指導
記帳代行
会社から領収書や請求書などの資料を預かり、税理士事務所が記帳を代行します。
サービス内容
- 会計データの入力
- 仕訳の作成
- 総勘定元帳の作成
- 試算表の作成
記帳代行のメリット
- 経営者が本業に専念できる
- 正確な記帳が保証される
- 会計ソフトを購入する必要がない
記帳代行のデメリット
- 費用がかかる
- リアルタイムで財務状況を把握しにくい
2. 月次決算
月次決算とは、毎月の財務状況を把握するために、月次で決算書を作成することです。
月次決算のメリット
- 経営状況をタイムリーに把握できる
- 問題点を早期に発見できる
- 決算対策を早めに検討できる
- 銀行への提出資料として活用できる
月次決算の流れ
- 会社が資料を税理士事務所に提出
- 税理士事務所が記帳・月次決算を作成
- 税理士が会社を訪問し、月次決算を報告
- 経営課題について議論
月次決算で確認する内容
- 売上高の推移
- 利益の推移
- 資金繰りの状況
- 前年同月との比較
- 予算との比較
3. 税務相談
日常的な税務に関する疑問や相談に、税理士が対応します。
相談内容の例
- この経費は損金算入できますか
- 消費税の課税対象になりますか
- 役員報酬を変更したいのですが
- 従業員に退職金を支給する際の税務処理は
- 新規事業を始める際の税務上の注意点は
相談方法
- 訪問時に直接相談
- 電話での相談
- メールでの相談
- チャットツール(ChatworkやSlackなど)での相談
税務相談のメリット
- 税務リスクを未然に防げる
- 適切な処理方法が分かる
- 安心して経営判断ができる
4. 決算申告
事業年度末に、決算書と法人税申告書を作成し、税務署に提出します。
決算申告のサービス内容
- 決算整理
- 決算書の作成
- 法人税申告書の作成
- 地方税申告書の作成
- 消費税申告書の作成
- 税務署への提出
- 納税額の計算
決算対策の提案
決算の数か月前から、税理士が決算対策を提案します。
提案内容の例
- 節税対策
- 役員報酬の見直し
- 設備投資のタイミング
- 在庫の適正化
- 貸倒損失の計上
5. 税務調査への対応
税務調査が入った場合、税理士が立ち会い、対応します。
税理士の役割
- 調査官とのやり取りの仲介
- 質問への回答のサポート
- 指摘事項への反論
- 修正申告書の作成
税務調査での税理士の重要性
税務調査は専門的な知識が必要であり、経営者だけで対応すると、不利な結果になる可能性があります。税理士が立ち会うことで、適正な調査結果を得られる確率が高まります。
6. 年末調整
従業員の年末調整を代行します。
サービス内容
- 年末調整の計算
- 源泉徴収票の作成
- 法定調書合計表の作成
- 給与支払報告書の作成
- 税務署・市町村への提出
年末調整のメリット
- 複雑な計算を任せられる
- ミスを防げる
- 法定期限内に確実に提出できる
企業コンサルティングとしての税理士
税理士は、税務の専門家であると同時に、経営の専門家でもあります。税務顧問契約により、企業コンサルティングとしてのサポートも受けられます。
経営アドバイス
財務状況の分析
月次決算書や年次決算書を分析し、経営状況を評価します。
分析内容
- 収益性の分析(売上高利益率、ROAなど)
- 安全性の分析(自己資本比率、流動比率など)
- 成長性の分析(売上高成長率、利益成長率など)
- 効率性の分析(総資産回転率、棚卸資産回転率など)
経営課題の抽出
財務分析を基に、経営課題を抽出し、改善策を提案します。
課題の例
- 売上高は伸びているが、利益率が低下している
- 在庫が増加し、資金繰りが悪化している
- 借入金が多く、財務体質が弱い
- 売掛金の回収が遅れている
資金繰りのサポート
資金繰り表の作成
将来の資金繰りを予測し、資金不足を未然に防ぎます。
銀行融資のサポート
融資を受ける際の事業計画書の作成や、銀行との交渉をサポートします。
事業計画の策定サポート
中期経営計画の作成
3〜5年後の目標を設定し、達成するための計画を策定します。
年度予算の作成
次年度の売上目標、経費予算を設定し、計画的な経営を支援します。
補助金・助成金の活用サポート
補助金・助成金の情報提供
利用できる補助金・助成金を紹介します。
申請書の作成サポート
申請書の作成をサポートし、採択率を高めます。
主な補助金・助成金
- ものづくり補助金
- 事業再構築補助金
- IT導入補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- 雇用調整助成金
- キャリアアップ助成金
北九州の中小企業と税務顧問
北九州市内には、製造業、卸売業、小売業、サービス業など、多様な業種の中小企業があります。それぞれの業種に応じた税務サポートが必要です。
製造業の税務顧問
特有の課題
- 在庫管理
- 原価計算
- 設備投資の判断
- 研究開発費の活用
税理士のサポート
- 在庫評価の適正化
- 原価管理のアドバイス
- 減価償却の最適化
- 研究開発税制の活用
卸売業・小売業の税務顧問
特有の課題
- 在庫回転率の向上
- 売掛金の管理
- 消費税の処理
税理士のサポート
- 在庫の適正化
- 売掛金回収の管理
- 消費税の適切な処理
サービス業の税務顧問
特有の課題
- 人件費の管理
- 固定費の削減
- 新規顧客の獲得
税理士のサポート
- 人件費率の分析
- 固定費の見直し
- 収益構造の改善
建設業の税務顧問
特有の課題
- 工事進行基準の適用
- 外注費の管理
- 建設業許可の維持
税理士のサポート
- 工事原価の適切な計上
- 完成工事高の認識基準
- 経営事項審査(経審)のサポート
税理士の選び方
税務顧問契約は長期的な関係になるため、税理士選びは非常に重要です。
選ぶポイント
1. 専門性
自社の業種や規模に精通している税理士を選びます。
確認ポイント
- 同業種の顧問実績があるか
- 中小企業の顧問経験が豊富か
- 特定の分野(相続税、国際税務など)に強いか
2. 対応の迅速さ
質問に対して迅速に回答してくれるかどうかは重要です。
確認ポイント
- 電話やメールにすぐに返信してくれるか
- 緊急時に対応してくれるか
3. コミュニケーション能力
税務の専門用語を分かりやすく説明してくれるかどうかも重要です。
確認ポイント
- 説明が分かりやすいか
- 質問しやすい雰囲気か
- 経営者の話をよく聞いてくれるか
4. 費用の明確さ
費用が明確で、納得できる金額かどうかを確認します。
確認ポイント
- 月額顧問料と決算申告料が明示されているか
- 追加費用が発生する場合の説明があるか
- 費用対効果が高いか
5. 地理的な近さ
北九州市内の税理士であれば、訪問による面談がしやすく、地域の事情にも精通しています。
6. IT対応
クラウド会計ソフトに対応しているか、オンラインでのやり取りができるかも確認します。
初回面談での確認事項
事前に準備すること
- 会社の概要(業種、売上規模、従業員数など)
- 現在の経理体制
- 税理士に期待すること
- 予算
面談で確認すること
- 具体的なサービス内容
- 訪問頻度
- 連絡方法(電話、メール、チャットなど)
- 担当者(税理士本人か、スタッフか)
- 費用の内訳
- 契約期間と解約条件
税務顧問の費用
税務顧問の費用は、会社の規模(売上高や取引量)によって異なります。
月額顧問料
年商別の目安
| 年商 | 月額顧問料 | |------|----------| | 1,000万円未満 | 2〜3万円 | | 3,000万円未満 | 3〜5万円 | | 5,000万円未満 | 4〜6万円 | | 1億円未満 | 5〜10万円 | | 1億円以上 | 10万円〜 |
訪問頻度による違い
- 月1回訪問:標準料金
- 月2回訪問:標準料金の1.2〜1.5倍
- 四半期に1回訪問:標準料金の0.7〜0.8倍
決算申告料
決算申告料は、月額顧問料の4〜6か月分が目安です。
例
月額顧問料5万円の場合
決算申告料 = 5万円 × 5か月分 = 25万円
その他の費用
年末調整
- 従業員1人あたり3,000円〜5,000円
税務調査立ち会い
- 1日あたり5〜10万円
スポット相談
- 1時間あたり1〜3万円
年間の総費用
例:年商5,000万円の会社
月額顧問料:5万円 × 12か月 = 60万円
決算申告料:25万円
年末調整:5,000円 × 10人 = 5万円
年間合計:90万円
税務顧問契約のメリット
メリット1:税務リスクの軽減
専門家のチェックにより、税務上のミスを防ぎ、税務調査でのリスクを軽減できます。
メリット2:節税効果
適切な節税対策により、税負担を軽減できます。
メリット3:経営判断のサポート
財務データを基にした経営アドバイスにより、適切な経営判断ができます。
メリット4:時間の節約
税務や経理の業務を任せることで、経営者は本業に専念できます。
メリット5:最新の税制情報
税法は頻繁に改正されますが、税理士が最新情報を提供してくれます。
メリット6:資金調達のサポート
銀行融資の際の事業計画書作成や、補助金の申請サポートを受けられます。
メリット7:税務調査への対応
税務調査が入った場合、税理士が立ち会い、適正な調査結果を得られるようサポートします。
税務顧問契約を結ぶタイミング
会社設立時
会社を設立したら、すぐに税理士と顧問契約を結ぶことをお勧めします。
理由
- 設立時の届出書の提出をサポート
- 適切な会計処理の指導
- 節税対策を最初から実施
税務調査の指摘を受けたとき
税務調査で多額の追徴課税を受けた場合、今後のリスク回避のために税理士と顧問契約を結びます。
事業が拡大したとき
売上が増加し、税務処理が複雑になったタイミングで税理士と契約します。
現在の税理士に不満があるとき
現在の税理士のサービスに不満がある場合、別の税理士に変更することもできます。
まとめ
税務顧問契約は、税理士と継続的な関係を築き、税務や経営に関するサポートを受ける仕組みです。月次決算、税務相談、決算申告、税務調査対応など、多岐にわたるサービスが提供されます。
税理士は、税務の専門家であると同時に、企業コンサルティングとしての役割も担い、経営アドバイス、資金繰りサポート、事業計画策定など、経営全般のサポートを提供します。
北九州の中小企業が税理士と顧問契約を結ぶことで、税務リスクの軽減、節税効果、経営判断のサポートなど、多くのメリットを得られます。税理士選びは重要ですので、専門性、対応の迅速さ、コミュニケーション能力、費用などを総合的に判断し、自社に合った税理士を選びましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務顧問契約については、税理士にご相談ください。
