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記帳代行と月次決算の完全ガイド|北九州の税理士が教える実践方法

2025-11-04
  • 税務実務
  • 経営

記帳代行とは

記帳代行とは、会社の会計帳簿の作成を税理士や会計事務所に委託するサービスです。領収書や請求書などの資料を税理士事務所に渡すだけで、会計帳簿が作成されます。

多くの中小企業では、経理業務に十分な時間や人材を割けないことがあります。記帳代行を利用することで、経営者や従業員は本業に専念でき、正確な会計帳簿を維持できます。

記帳代行に含まれるサービス

  • 会計ソフトへのデータ入力
  • 仕訳の作成
  • 総勘定元帳の作成
  • 試算表の作成
  • 月次決算書の作成
  • 会計データの管理

記帳代行が必要な理由

  • 経理スタッフを雇う余裕がない
  • 経理の知識がない
  • 正確な会計処理をしたい
  • 本業に専念したい

記帳の重要性

会計帳簿は、会社の経営状況を把握し、適切な経営判断を行うために不可欠です。また、税務申告の基礎資料にもなります。

会計帳簿の種類

主要簿

  • 仕訳帳:全ての取引を日付順に記録
  • 総勘定元帳:勘定科目ごとに取引を記録

補助簿

  • 現金出納帳:現金の入出金を記録
  • 預金出納帳:預金の入出金を記録
  • 売掛帳:売掛金の増減を記録
  • 買掛帳:買掛金の増減を記録
  • 固定資産台帳:固定資産の取得・減価償却を記録

記帳の義務

法人

法人は、会社法により会計帳簿の作成が義務付けられています。また、法人税法により、帳簿書類を7年間(欠損金がある場合は10年間)保存する義務があります。

個人事業主

所得税法により、一定規模以上の事業者は、帳簿書類の作成・保存が義務付けられています。青色申告を行う場合は、複式簿記による記帳が必要です。

正確な記帳のメリット

経営状況の把握

日々の記帳により、売上や経費の状況をリアルタイムで把握でき、適切な経営判断ができます。

税務申告の正確性

正確な会計帳簿があれば、税務申告も正確に行えます。誤った申告は、追徴課税や税務調査のリスクを高めます。

銀行融資の際の資料

銀行融資を受ける際、決算書や試算表の提出が求められます。正確な会計帳簿があれば、信頼性の高い資料を提供できます。

経営分析の基礎データ

会計帳簿を基に、財務分析を行い、経営課題を発見できます。

記帳代行のメリット

メリット1:経営者が本業に専念できる

経理業務は時間と労力がかかります。記帳代行を利用することで、経営者は本業に専念でき、売上拡大や顧客対応に時間を使えます。

メリット2:経理スタッフを雇う必要がない

経理スタッフを雇うには、人件費(給与、社会保険料)がかかります。記帳代行の費用は、経理スタッフを雇うより安いことが多いです。

経理スタッフを雇う場合

  • 月額給与:20万円
  • 社会保険料(会社負担):3万円
  • 年間コスト:276万円

記帳代行を利用する場合

  • 月額費用:2〜5万円
  • 年間コスト:24〜60万円

メリット3:正確な会計処理

税理士が記帳を行うため、税法に基づいた正確な会計処理が保証されます。誤った処理による税務リスクを回避できます。

メリット4:最新の税法に対応

税法は頻繁に改正されます。税理士は最新の税法に精通しており、常に適切な処理を行います。

メリット5:会計ソフトを購入する必要がない

記帳代行を利用する場合、税理士事務所の会計ソフトを使用するため、自社で購入する必要がありません。

メリット6:税務相談ができる

記帳代行と併せて、日常的な税務相談ができます。経理処理で疑問がある場合、すぐに税理士に相談できます。

記帳代行のデメリット

デメリット1:費用がかかる

記帳代行には費用がかかります。ただし、経理スタッフを雇うよりは安いことが多いです。

デメリット2:リアルタイムで財務状況を把握しにくい

資料を税理士事務所に提出してから会計データが完成するまで、タイムラグがあります。リアルタイムで財務状況を把握したい場合は、自社で記帳する方が良いでしょう。

デメリット3:経理の知識が身につかない

記帳代行に全て任せると、社内に経理の知識が蓄積されません。将来的に自社で経理を行いたい場合は、記帳指導を受ける方が良いかもしれません。

記帳代行の流れ

ステップ1:資料の準備

会社は、以下の資料を準備します。

月次で提出する資料

  • 領収書
  • 請求書(売上・仕入)
  • 通帳のコピーまたはネットバンキングのデータ
  • クレジットカードの利用明細
  • 給与台帳
  • その他の証憑書類

ステップ2:資料の提出

資料を税理士事務所に提出します。

提出方法

  • 郵送
  • 直接持参
  • スキャンしてメール送信
  • クラウドストレージで共有

提出のタイミング

  • 毎月末〜翌月初旬

ステップ3:税理士事務所での記帳

税理士事務所が、資料を基に会計ソフトにデータを入力し、仕訳を作成します。

記帳の内容

  • 売上の計上
  • 仕入・経費の計上
  • 預金の入出金
  • 現金の入出金
  • 給与の計上

ステップ4:試算表・月次決算書の作成

記帳が完了したら、試算表や月次決算書を作成します。

作成される資料

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 月次推移表
  • 勘定科目内訳表

ステップ5:報告

税理士が会社を訪問し、月次決算の内容を報告します。

報告内容

  • 売上・利益の状況
  • 前月との比較
  • 前年同月との比較
  • 問題点や改善点の指摘
  • 税務相談への対応

ステップ6:会計データの保管

作成した会計データは、税理士事務所で保管されます。会社も必要に応じてコピーを保管します。

月次決算の重要性

月次決算とは、毎月、決算書(貸借対照表、損益計算書)を作成し、経営状況を把握することです。年に1回の年次決算だけでなく、毎月決算を行うことで、タイムリーに経営状況を把握できます。

月次決算のメリット

経営状況をタイムリーに把握

月次決算により、毎月の売上や利益を把握でき、問題があればすぐに対策を打てます。年次決算だけでは、問題が深刻化してから気づくことになります。

早期の経営判断

月次で財務状況を把握することで、在庫の調整、経費の削減、価格の見直しなど、早期に経営判断ができます。

決算対策の時間的余裕

年度末の決算を待たず、毎月の利益状況を把握できるため、決算対策を早めに検討できます。

銀行融資への対応

銀行から融資を受ける際、最新の試算表の提出を求められることがあります。月次決算を行っていれば、すぐに対応できます。

予実管理

予算と実績を毎月比較し、差異の原因を分析することで、経営計画の達成度を確認できます。

月次決算で確認すべき項目

売上高

  • 当月の売上高
  • 前月との比較
  • 前年同月との比較
  • 予算との比較

売上総利益(粗利)

  • 当月の粗利額
  • 粗利率
  • 前月・前年同月との比較

営業利益

  • 当月の営業利益
  • 営業利益率
  • 経費の内訳

経常利益

  • 当月の経常利益
  • 年間累計の利益

資金繰り

  • 預金残高
  • 売掛金・買掛金の状況
  • 借入金の残高

月次決算の頻度

月1回

最も一般的な頻度です。毎月の経営状況を把握できます。

四半期に1回

小規模な事業や、業績が安定している場合、四半期ごとの決算でも良いでしょう。

リアルタイム

クラウド会計ソフトを使い、自社で日々記帳している場合、リアルタイムで財務状況を確認できます。

記帳代行の費用

記帳代行の費用は、取引量や売上規模によって異なります。

一般的な料金体系

月額料金

| 仕訳数(月間) | 月額料金 | |-----------|--------| | 50仕訳以下 | 1〜2万円 | | 100仕訳以下 | 2〜3万円 | | 200仕訳以下 | 3〜5万円 | | 300仕訳以下 | 5〜7万円 | | 300仕訳超 | 個別見積 |

年商別の目安

| 年商 | 月額料金 | |------|--------| | 1,000万円未満 | 1〜3万円 | | 3,000万円未満 | 2〜4万円 | | 5,000万円未満 | 3〜6万円 | | 1億円未満 | 5〜10万円 |

追加費用

給与計算

  • 従業員1人あたり月額1,000円〜3,000円

年末調整

  • 従業員1人あたり3,000円〜5,000円

決算申告

  • 月額顧問料の4〜6か月分

記帳指導と記帳代行の違い

記帳指導

会社が自社で記帳を行い、税理士が指導・チェックする方法です。

メリット

  • 費用が安い
  • 社内に経理の知識が蓄積される
  • リアルタイムで財務状況を把握できる

デメリット

  • 会計ソフトの購入が必要
  • 経理担当者が必要
  • 記帳に時間がかかる

向いている会社

  • 経理担当者がいる
  • 経理の知識を身につけたい
  • 費用を抑えたい

記帳代行

税理士事務所が記帳を代行する方法です。

メリット

  • 経営者が本業に専念できる
  • 経理スタッフを雇う必要がない
  • 正確な会計処理が保証される

デメリット

  • 費用がかかる
  • リアルタイムで財務状況を把握しにくい

向いている会社

  • 経理担当者がいない
  • 経理業務に時間を割けない
  • 正確な会計処理を重視する

法人税務アウトソーシング

法人税務アウトソーシングとは、税務や経理業務を外部の専門家に委託することです。記帳代行だけでなく、以下の業務も含まれます。

アウトソーシングできる業務

  • 記帳代行
  • 給与計算
  • 年末調整
  • 決算申告
  • 税務相談
  • 資金繰り管理
  • 経営分析
  • 補助金申請サポート

メリット

  • 経理部門を持たなくて済む
  • 専門家のサポートを受けられる
  • コストを変動費化できる
  • 最新の税法に対応できる

デメリット

  • 外部に情報を開示する必要がある
  • 依存度が高まる

クラウド会計との連携

近年、クラウド会計ソフトが普及しています。クラウド会計を利用することで、記帳代行がより効率的になります。

クラウド会計のメリット

自動仕訳

銀行口座やクレジットカードと連携し、取引データを自動で取り込み、仕訳を作成します。

リアルタイムで情報共有

会社と税理士事務所が同じデータを見られるため、リアルタイムで財務状況を共有できます。

場所を選ばない

インターネット環境があれば、どこからでもアクセスできます。

自動バックアップ

データはクラウド上に保存されるため、パソコンが壊れてもデータは安全です。

主なクラウド会計ソフト

  • freee
  • マネーフォワードクラウド会計
  • 弥生会計オンライン

北九州での記帳代行・月次決算サポート

北九州市内の中小企業は、製造業、卸売業、小売業、サービス業など多様です。それぞれの業種に応じた記帳代行・月次決算サポートが必要です。

製造業の場合

記帳の特徴

  • 原価計算が必要
  • 在庫管理が複雑
  • 減価償却資産が多い

月次決算で確認すべき項目

  • 製造原価の推移
  • 在庫の状況
  • 設備稼働率

卸売業・小売業の場合

記帳の特徴

  • 仕入・売上の取引量が多い
  • 在庫管理が重要
  • 売掛金・買掛金の管理

月次決算で確認すべき項目

  • 売上総利益率
  • 在庫回転率
  • 売掛金の回収状況

サービス業の場合

記帳の特徴

  • 人件費の割合が高い
  • 在庫がない(または少ない)
  • 経費の種類が多い

月次決算で確認すべき項目

  • 人件費率
  • 労働生産性
  • 固定費の状況

税理士の選び方

北九州市内で記帳代行・月次決算サポートを依頼する税理士を選ぶ際のポイントです。

業種の知識

自社の業種に精通している税理士を選びます。

訪問頻度

月1回訪問してくれるか、四半期に1回か、確認します。

対応の迅速さ

質問に対してすぐに回答してくれるか、確認します。

クラウド会計への対応

クラウド会計ソフトに対応しているか、確認します。

費用の明確さ

料金体系が明確で、納得できる金額か、確認します。

まとめ

記帳代行は、経営者が本業に専念でき、正確な会計処理が保証されるサービスです。経理スタッフを雇うよりも費用を抑えられ、最新の税法に対応できます。

月次決算を行うことで、経営状況をタイムリーに把握し、早期の経営判断ができます。銀行融資や決算対策にも役立ちます。

北九州で記帳代行や月次決算サポートをお考えの企業は、税理士に相談することで、業種に応じた適切なサポートを受けられます。法人税務アウトソーシングにより、税務や経理業務を外部に委託し、経営に専念することも可能です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な記帳代行や月次決算については、税理士にご相談ください。

現在弊社では、ZOOMを利用したオンラインによる面談を行っております。
© 税理士 富下会計事務所