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消費税のゼロ税率・非課税・不課税の違い|課税売上割合と仕入税額控除への影響を北九州の税理士が解説

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  • 消費税
  • 税務実務

「食料品の消費税をゼロにする」という議論が続いています。この「ゼロ」は、現行の輸出免税と同じゼロ税率の方式を国内の食料品にも適用する前提で語られることが多いのですが、消費税には「非課税」や「不課税」という、やはり消費税がかからない区分が別に存在します。消費者の立場では、どれも「税金がかからない」という点で同じに見えます。

ところが事業者の立場では、売上がどの区分に該当するかによって、仕入れにかかった消費税を控除できるかどうかが変わり、納付額や還付額に直接影響します。本記事では、北九州エリアで中小企業や個人事業主の消費税申告をサポートしている税理士の視点から、ゼロ税率・非課税・不課税の違いと、実務で注意すべきポイントを整理して解説します。

消費税の基本的な仕組みを確認する

消費税は、売上のときに預かった消費税から、仕入れや経費のときに支払った消費税を差し引いて納付する仕組みです。この差し引く計算を仕入税額控除といいます。売上が課税売上であれば、その売上のために支払った仕入れの消費税は原則として全額控除できます。

ところが、売上に消費税がかからない取引が混ざると、その売上に対応する仕入れの消費税を控除できるかどうかが問題になります。ここで登場するのが課税売上割合という考え方で、全体の売上のうち課税売上がどのくらいの割合を占めるかによって、控除できる仕入税額が決まります。ゼロ税率・非課税・不課税の違いは、この課税売上割合の計算と仕入税額控除の可否に集約されます。

ゼロ税率とは

ゼロ税率は、課税売上として扱いながら、税率が 0 % である取引です。現行制度では、輸出取引や国際輸送などに適用される輸出免税がこれに当たります。主な特徴は次のとおりです。

  • 売上の消費税額は 0 円
  • 課税売上割合の計算では、分母にも分子にも含める
  • その売上のために支払った仕入れや経費の消費税は控除できる(還付も可能)

ポイントは、税率がゼロでも課税の枠組みの中に残っているという点です。課税売上として扱われるため、対応する仕入れの消費税を全額控除でき、売上の消費税が 0 円である以上、控除しきれない分は還付されます。輸出企業が消費税の還付を受けているのは、まさにこの仕組みによるものです。仕入れにかかった消費税の負担が事業者に残らないことが、ゼロ税率の最大の特徴です。

非課税とは

非課税は、消費税の性格になじまないものや、社会政策的な配慮が必要なものについて、法律で「消費税を課さない」と定められている取引です。主な特徴は次のとおりです。

  • 売上に消費税がかからない
  • 課税売上割合の計算では、分母に含めるが分子には含めない(一部例外あり)
  • その売上に対応する仕入れの消費税は控除できない

代表的な非課税取引には、次のようなものがあります。

区分 取引例
消費税の性格になじまないもの 土地の譲渡、土地の貸付け、有価証券の譲渡、利子、保険料
社会政策的な配慮によるもの 住宅の貸付け、社会保険医療、介護保険法に基づく居宅サービス、学校の授業料

非課税売上がある事業者は、課税売上割合が下がります。分母には含まれるのに分子には含まれないためです。課税売上割合が 95 % 未満になると、仕入れの消費税を全額控除することができなくなり、個別対応方式か一括比例配分方式で控除額を計算する必要が出てきます。不動産賃貸業でアパートの家賃収入があるケースや、医療機関で保険診療収入があるケースでは、非課税売上が多いために仕入税額控除が大きく制限されるのが典型例です。

不課税とは

不課税は、消費税法の課税対象となる取引にはじめから該当しないものです。消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡や貸付け、役務の提供と定められており、この要件を満たさない取引は課税の枠組みの外にあります。主な特徴は次のとおりです。

  • 売上に消費税がかからない
  • 課税売上割合の計算では、分母にも分子にも含めない
  • その売上に対応する仕入れの消費税は、課税売上割合分を控除できる

代表的な不課税取引には、寄附金、補助金、保険金、損害賠償金、違約金、給与などがあります。いずれも対価性がない、あるいは事業としての取引ではないため、消費税の対象外です。不課税は課税売上割合の計算にまったく登場しないため、非課税と違って課税売上割合を引き下げる効果がありません。補助金を受け取っても消費税の計算には影響しないというのは、この理由によるものです。

ゼロ税率・非課税・不課税の比較

ここまでの内容を整理すると、次のようになります。

項目 ゼロ税率
売上の消費税 0 円
課税売上割合の計算 分母・分子ともに含める
対応する仕入れの消費税 全額控除できる(還付も可能)
項目 非課税
売上の消費税 かからない
課税売上割合の計算 分母に含め、分子には含めない
対応する仕入れの消費税 控除できない
項目 不課税
売上の消費税 かからない
課税売上割合の計算 分母・分子ともに含めない
対応する仕入れの消費税 課税売上割合分は控除できる

最も大きな違いは、仕入れにかかった消費税の負担が事業者に残るかどうかです。ゼロ税率では負担が残りませんが、非課税や不課税では、対応する仕入れの消費税の全部または一部が控除できず、事業者のコストとして残ります。「消費税がかからない」という言葉は同じでも、事業者の損益に与える影響は正反対になることがあります。

食料品の消費税ゼロが実現した場合の実務への影響

食料品に対する消費税の議論では、ゼロ税率方式が前提とされています。これが実現した場合、食料品を販売する小売業や飲食店では、食料品の売上が課税売上のまま税率 0 % になるため、仕入れにかかった消費税は引き続き控除でき、売上の消費税より仕入れの消費税が多ければ還付を受けられることになります。事業者にとっては、非課税方式よりも負担が軽い仕組みです。

一方で、もし非課税方式が採用された場合は、食料品の売上が非課税売上となり、課税売上割合が下がって仕入税額控除が制限されます。食料品と日用品を両方扱うスーパーマーケットなどでは、仕入れの消費税の一部が控除できなくなり、コスト増につながります。同じ「消費税ゼロ」でも、ゼロ税率か非課税かによって事業者への影響は大きく異なるため、今後の制度設計の動向を注視しておく必要があります。

実務で判定を誤りやすいケース

日常の経理では、取引をゼロ税率・非課税・不課税・課税のいずれに区分するかで迷う場面があります。誤りやすい例を挙げます。

土地と建物を一括で売却した場合

土地の譲渡は非課税ですが、建物の譲渡は課税です。一括で売却した場合は、合理的な基準で土地と建物の対価を区分し、建物部分だけを課税売上として計上します。区分を誤ると、消費税の納付額が大きく変わります。

住宅と店舗が混在する建物の家賃

住宅の貸付けは非課税ですが、事務所や店舗の貸付けは課税です。1 棟の建物に住宅部分と店舗部分がある場合は、それぞれの家賃を区分して処理します。契約書で用途が明確になっていないと、判定に迷う原因になります。

保険金や損害賠償金

事故の保険金や損害賠償金の受取りは不課税です。ただし、損害賠償金という名目でも、実質的に資産の譲渡や役務の提供の対価と認められるものは課税対象になります。名目ではなく実態で判断します。

補助金と委託料

国や自治体から受け取る補助金は不課税ですが、自治体から業務を受託して受け取る委託料は課税売上です。同じ自治体からの入金でも、対価性の有無で区分が変わります。

数字で見る課税売上割合への影響

区分の違いが納付額にどう響くかを、簡単な数字で確認してみます。年間の売上が合計 1 億円で、そのうち 2,000 万円が消費税のかからない売上、仕入れや経費にかかった消費税が合計 500 万円の事業者を想定します。消費税のかからない 2,000 万円がどの区分に該当するかで、課税売上割合と控除できる仕入税額は次のように変わります。

2,000 万円の区分 課税売上割合と控除できる仕入税額の目安
ゼロ税率(輸出売上) 割合 100 %、仕入税額 500 万円を全額控除
非課税(住宅家賃など) 割合 80 %、一括比例配分方式なら控除は 400 万円
不課税(補助金など) 割合 100 %、仕入税額 500 万円を全額控除

非課税売上がある場合だけ、100 万円分の仕入税額が控除できずに事業者の負担として残ります。実際には個別対応方式を選択して、非課税売上にのみ対応する仕入れを切り分けることで控除額を増やせる場合もありますが、いずれにしても非課税売上の存在が納付額を押し上げる構造は変わりません。

逆に、ゼロ税率や不課税の売上がいくらあっても、課税売上割合は下がらず、仕入税額控除は制限されません。売上の区分を正しく管理することが、消費税の納付額を適正に計算するうえで欠かせない理由がここにあります。

当事務所の考え方

日々の仕訳で迷ったときは、「相手から対価を受け取っているか」を先に見て、受け取っていなければ不課税、受け取っていれば課税か非課税かを法律の非課税一覧で確認する順にすると誤りが減ります。補助金と委託料、住宅家賃と店舗家賃の混同はこの順で見れば防げます。

非課税売上が全体の 5 % を超える見込みのお客様には、期中から個別対応方式で仕入れを区分する運用をお勧めしています。期末にまとめて区分し直すと、一括比例配分方式しか選べず控除額が減ることが多いためです。

よくある質問

消費税の課税区分について、当事務所によく寄せられる質問をまとめます。

Q1. 非課税売上しかない事業者は消費税の申告が不要ですか

非課税売上のみで課税売上がまったくない場合は、消費税の納税義務は生じません。ただし、課税売上が少しでもあれば、基準期間の課税売上高で納税義務を判定します。住宅の家賃収入のほかに駐車場収入や店舗の家賃収入がある場合は、それらが課税売上になるため注意してください。

Q2. 課税売上割合が 95 % 以上なら仕入れの消費税は全額控除できますか

課税売上割合が 95 % 以上で、かつ課税期間の課税売上高が 5 億円以下であれば、仕入れの消費税を全額控除できます。課税売上高が 5 億円を超える事業者は、課税売上割合が 95 % 以上でも個別対応方式か一括比例配分方式で計算する必要があります。

Q3. 輸出取引でゼロ税率の適用を受けるために必要な書類はありますか

輸出免税の適用を受けるためには、輸出許可書や輸出の事実を証明する書類を保存しておく必要があります。書類の保存がないと、ゼロ税率ではなく通常の課税売上として扱われるおそれがあります。輸出取引を始める前に、書類の保存体制を整えておいてください。

Q4. 不課税の取引も消費税申告書に記載する必要がありますか

不課税取引は課税売上割合の計算に含まれないため、申告書の計算には直接影響しません。ただし、会計ソフトで取引を入力する際には、課税・非課税・不課税の区分を正しく設定しておく必要があります。区分を誤ると課税売上割合と控除税額がずれます。日々の仕訳の段階で正しく分けておいてください。

Q5. 非課税売上と不課税売上を区別する意味はありますか

あります。非課税売上は課税売上割合の分母に含まれるため、割合を引き下げて仕入税額控除を減らす効果があります。不課税売上は分母にも分子にも含まれないため、割合に影響しません。どちらも売上に消費税はかかりませんが、仕入税額控除の計算では扱いが異なるため、区別して処理する必要があります。

区分を間違えると納付額が変わる

ゼロ税率、非課税、不課税はいずれも売上に消費税がかからない取引ですが、課税売上割合の計算での扱いと、対応する仕入れの消費税を控除できるかどうかが異なります。ゼロ税率は課税の枠組みに残るため仕入れの消費税を全額控除でき、非課税と不課税では仕入れの消費税の負担が事業者に残ります。

実務では、土地と建物の区分、住宅と店舗の家賃の区分、補助金と委託料の区分など、判定を誤りやすい場面が多くあります。当事務所では、北九州エリアの中小企業・個人事業主の皆様に、日々の取引の課税区分の確認から消費税申告、課税売上割合の管理まで幅広くサポートしています。消費税の区分や仕入税額控除でご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。

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