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所得税の予定納税と減額申請|7 月・11 月の納付の仕組みと業績悪化時に納税額を減らす手続きを北九州の税理士が解説

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  • 所得税
  • 確定申告

6 月になると、個人事業主やフリーランスの方のもとに税務署から「予定納税額の通知書」が届くことがあります。前年の確定申告で納めた所得税が一定額以上だった方は、今年の所得税の一部を 7 月と 11 月に前払いする必要があり、これを予定納税といいます。

「確定申告で納めたばかりなのに、また納付書が来た」と驚く方が毎年いらっしゃいます。予定納税は前年の実績をもとに機械的に計算されるため、今年の業績が落ちている場合には実態より多い金額を前払いすることになります。そのような場合に納付額を減らす手続きが減額申請です。

本記事では、北九州エリアで個人事業主やフリーランスの確定申告をサポートしている税理士の視点から、予定納税の仕組みと減額申請の要件、資金繰りの注意点を整理して解説します。

予定納税とは

予定納税は、その年の所得税の一部をあらかじめ納付する制度です。所得税は本来、翌年 3 月 15 日までの確定申告で 1 年分をまとめて納めますが、税額が大きい方については年 2 回に分けて前払いし、確定申告で精算する仕組みになっています。

予定納税で納めた金額は、確定申告のときに年間の所得税額から差し引かれます。前払いした額が年間の税額より多ければ、差額は還付されます。損をする制度ではなく、納付のタイミングを分散する制度と考えると分かりやすいでしょう。

対象になる基準

対象かどうかは、予定納税基準額で判定します。予定納税基準額とは、原則として前年分の所得税額(申告納税額)で、税務署が計算して通知します。この金額が 15 万円以上の場合に予定納税の義務が生じます。

項目 内容
予定納税基準額 原則として前年分の申告納税額(所得税及び復興特別所得税の合計)
予定納税の義務が生じる基準 予定納税基準額が 15 万円以上
各回の納付額 予定納税基準額の 3 分の 1 ずつ

前年に譲渡所得や一時所得など臨時の所得があった場合、その所得に対する税額は予定納税基準額から除いて計算されます。前年に不動産を売却して所得税が大きくなった方でも、事業所得だけで計算した税額が 15 万円未満であれば予定納税は不要です。

納付の時期と金額

予定納税は第 1 期と第 2 期の 2 回に分けて納付し、それぞれ予定納税基準額の 3 分の 1 を納めます。残りの 3 分の 1 は、翌年の確定申告で精算します。

納付回 納期限
第 1 期 7 月 1 日から 7 月 31 日まで
第 2 期 11 月 1 日から 11 月 30 日まで

たとえば昨年の申告納税額が 60 万円だった方は、7 月に 20 万円、11 月に 20 万円を予定納税し、確定申告で年間の税額から 40 万円を差し引いた残額を納めます。予定納税額の通知書は 6 月 15 日までに税務署から送付されるため、届いたら金額と納期限を確認してください。

減額申請とは

予定納税は前年の実績をもとに計算されるため、今年の業績が前年より悪化している場合、実態より多い金額を前払いすることになります。このような場合、その年の所得税の見積額が予定納税基準額より少なくなると見込まれるときは、税務署に減額申請をして予定納税額を減らすことができます。

減額申請ができる主な事由

減額申請は、次のような事情でその年の申告納税見積額が予定納税基準額に満たないと見込まれる場合に行えます。

  • 廃業、休業、失業をした
  • 業況不振などで今年の所得が前年より明らかに少なくなる見込み
  • 災害や盗難、横領により事業用資産や生活用資産に損害を受けた
  • 多額の医療費を支出した、または支出する見込み
  • 配偶者控除や扶養控除、障害者控除などの所得控除が新たに受けられるようになった
  • 社会保険料控除や生命保険料控除などの控除額が増加した

売上の減少だけでなく、所得控除の増加によって税額が減る見込みの場合も対象になります。年の前半で今年の所得の見通しがつく方は、減額申請によって前払いの負担を軽減できます。

申請の期限と手続き

減額申請は、第 1 期分と第 2 期分の両方を減額する場合と、第 2 期分のみを減額する場合で期限が異なります。

減額の対象 申請期限と判定の基準日
第 1 期分と第 2 期分 7 月 1 日から 7 月 15 日まで(6 月 30 日の現況で見積もる)
第 2 期分のみ 11 月 1 日から 11 月 15 日まで(10 月 31 日の現況で見積もる)

申請には「予定納税額の減額申請書」を税務署に提出します。申請書には、その年の所得の見積額、所得控除の見積額、申告納税見積額を記載し、見積りの根拠となる資料(6 月末までの試算表や損益の集計など)を添付します。税務署が申請を承認すると、減額後の予定納税額が通知されます。

7 月 15 日という期限は第 1 期の納期限より前であるため、6 月末時点の損益をすぐに集計する必要があります。月次で試算表を作成している方であれば対応しやすいですが、年 1 回の確定申告のときにしか集計していない方は、期限に間に合いません。

減額申請をするかどうかの判断

減額申請は義務ではなく、申請しなくても確定申告で精算されるため損をすることはありません。それでも申請を検討する価値があるのは、資金繰りの観点です。

前年の申告納税額が 90 万円で予定納税が各回 30 万円の方が、今年は売上減少で年間の所得税が 30 万円程度になる見込みであれば、予定納税 60 万円のうち 30 万円は確定申告後に還付されることになります。しかし、還付を受けるのは翌年の 3 月以降であり、それまでの間、30 万円の資金が手元から離れます。

減額申請をすれば、この 30 万円を手元に残したまま事業に使えます。資金繰りに余裕がある方は申請しなくても問題ありませんが、業績が悪化しているときほど手元資金は重要であるため、申請を検討する意味は大きくなります。

見積りが低すぎた場合の注意点

減額申請で申告納税見積額を実態より低く見積もり、確定申告で納める税額が大きくなった場合、減額後の予定納税額と本来の予定納税額との差額について延滞税がかかることはありません。ただし、確定申告での納付額が大きくなるため、確定申告時の資金を準備しておく必要があります。

減額申請は、6 月末または 10 月末時点の現況にもとづいて合理的に見積もります。根拠のない見積りで申請すると承認されないことがあるため、試算表など客観的な資料をもとに作成してください。

予定納税の納付方法と資金繰り

予定納税は、税務署から送付される納付書のほか、振替納税、ダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード納付、スマートフォンアプリ納付などの方法で納めることができます。

振替納税を利用している方は、7 月 31 日と 11 月 30 日(土日祝日の場合は翌営業日)に指定口座から自動で引き落とされます。引き落とし日に残高が足りないと振替ができず、延滞税がかかります。通知が届いた時点で口座残高を見ておいてください。

納期限までに納付しない場合は、納期限の翌日から延滞税がかかります。資金が足りず納付が難しい場合は、放置せずに税務署へ相談してください。納税の猶予が認められることもあります。

個人事業主の年間の納税スケジュール

消費税の課税事業者には消費税の中間申告があり、個人事業税や住民税にも納期があります。年間の納税スケジュールを把握しておくと、資金繰りの計画が立てやすくなります。

時期 主な納税
3 月 所得税の確定申告・納付、消費税の確定申告・納付
6 月 住民税(第 1 期)
7 月 所得税の予定納税(第 1 期)
8 月 個人事業税(第 1 期)、住民税(第 2 期)、消費税の中間申告(年 1 回の場合)
10 月 住民税(第 3 期)
11 月 所得税の予定納税(第 2 期)、個人事業税(第 2 期)
翌年 1 月 住民税(第 4 期)

夏から秋にかけて納税が集中するため、確定申告のときに 1 年分の納税見込みを計算し、毎月一定額を納税用の口座に積み立てておく方法をおすすめしています。

当事務所の考え方

減額申請をするかどうかは、「還付を待てるだけの資金があるか」で決めるようお伝えしています。前年より所得が 3 割以上減る見込みで、7 月と 11 月の納付が資金繰りを圧迫するなら申請する価値があります。減少幅が小さい場合は、申請の手間と比べて効果が薄いため、確定申告での精算で足ります。

申請書に添える資料は、6 月末までの試算表と前年同期との売上比較で十分です。月次の記帳を当事務所で確認しているお客様は、7 月上旬にこの資料をすぐ出せる状態にしています。

よくある質問

予定納税と減額申請について、当事務所によく寄せられる質問をまとめます。

Q1. 予定納税の通知が届きましたが、去年は臨時の収入があっただけです

前年の所得に譲渡所得や一時所得などの臨時所得が含まれている場合、その分の税額は予定納税基準額の計算から除かれているはずです。通知書の予定納税基準額を確認し、それでも今年の所得税の見積額が基準額を下回る見込みであれば、減額申請を検討してください。

Q2. 減額申請をしなかった場合、払いすぎた分はどうなりますか

確定申告で精算され、払いすぎた分は還付されます。還付金には還付加算金が付くこともあります。損をするわけではありませんが、還付までの間は資金が手元から離れる点を考慮して申請の要否を判断してください。

Q3. 7 月 15 日を過ぎてしまった場合、第 1 期分の減額はできませんか

第 1 期分と第 2 期分をあわせて減額する申請の期限は 7 月 15 日です。これを過ぎると第 1 期分は通知どおり納付し、第 2 期分についてのみ 11 月 1 日から 15 日までに減額申請することになります。

Q4. 開業して 2 年目ですが、予定納税の通知が届きました

開業 1 年目の確定申告で申告納税額が 15 万円以上であれば、2 年目から予定納税の対象になります。1 年目が好調で 2 年目の見通しが厳しい場合は減額申請を検討してください。開業初年度の所得が数ヶ月分しかなかった場合でも、その税額がそのまま基準になります。

Q5. 予定納税額を納めるための資金が足りません

納期限までに納付できない場合は、税務署に納税の猶予を相談する方法があります。また、減額申請の期限内であれば、今年の所得の見込みをもとに申請することで納付額そのものを減らせる可能性があります。いずれにしても放置すると延滞税が増えるため、早めに税理士または税務署へ相談してください。

Q6. 減額申請が承認されなかった場合はどうなりますか

申請内容に合理性がないと判断された場合は、税務署から承認しない旨の通知が届き、当初の予定納税額を納めることになります。見積りの根拠となる資料が不足していることが主な理由であるため、6 月末までの試算表や売上台帳、前年同期との比較など、所得の減少が客観的に分かる資料を添付して申請することが承認を受けるポイントです。

7 月 15 日までに見積もれるかが分かれ目

所得税の予定納税は、前年の申告納税額が 15 万円以上の方が、7 月と 11 月にその 3 分の 1 ずつを前払いする制度です。今年の業績が悪化している場合や所得控除が増える見込みの場合は、7 月 15 日(第 2 期分のみは 11 月 15 日)までに減額申請をすれば納付額を減らせます。

減額申請には 6 月末時点の損益の集計が要ります。月次で試算表を作っておくことが前提です。当事務所では、北九州エリアの個人事業主・フリーランスの皆様に、月次の記帳サポートから納税予測、減額申請書の作成まで一貫してお手伝いしています。予定納税の通知が届いてご不安な方は、お気軽にご相談ください。

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