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2026 年度の労働保険の年度更新|申告書が届かない法人・雇用保険料率の改定・口座振替の納期を北九州の税理士が解説

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  • 労務
  • 社会保険

毎年 6 月から 7 月にかけて、労働保険の年度更新の時期がやってきます。労災保険と雇用保険をあわせた労働保険は、年度の初めに 1 年分の保険料を概算で前払いし、翌年度に確定した金額との差額を精算する仕組みです。この精算と新年度の概算保険料の申告をまとめて行うのが年度更新です。

2026 年度の年度更新では、電子申請が義務付けられている法人に紙の申告書が送付されなくなったほか、雇用保険料率が 4 月 1 日から改定されています。前年度と同じ感覚で進めると、保険料の計算を誤るおそれがあります。

本記事では、北九州エリアで中小企業の労務・税務をサポートしている税理士の視点から、年度更新の基本的な流れと 2026 年度のポイントを整理して解説します。

労働保険の年度更新とは

労働保険の保険料は、4 月 1 日から翌年 3 月 31 日までの 1 年間を単位として計算します。年度の初めには実際の賃金総額が分からないため、見込みの賃金総額で概算保険料を申告・納付しておき、年度が終わってから実際の賃金総額で確定保険料を計算して精算します。

年度更新では、前年度の確定保険料の申告と精算、今年度の概算保険料の申告と納付を同時に行います。申告と納付の期間は 6 月 1 日から 7 月 10 日までです。

項目 内容
前年度の確定保険料 2025 年度の実際の賃金総額 × 2025 年度の保険料率
今年度の概算保険料 2026 年度の見込み賃金総額 × 2026 年度の保険料率
申告・納付期間 2026 年 6 月 1 日から 7 月 10 日まで

前年度に納めた概算保険料が確定保険料より多ければ、差額は今年度の概算保険料に充当されます。少なければ不足分を今年度の概算保険料とあわせて納付します。

2026 年度の申告書の送付に関する変更

昨年までは、5 月末から 6 月初めにかけて労働局から申告書が事業所に届いていました。紙で申告を行う場合はこの申告書を使用します。

2026 年度からは、労働保険の電子申請が義務付けられている法人には、この申告書が送付されなくなりました。代わりに、電子申請に必要な情報を記載した通知書などが送付されます。行政手続きの電子化に伴う流れの一環です。

紙の申告書が送付されない法人

次の法人には、電子申請が義務付けられているため紙の申告書が届きません。

  • 資本金、出資金または銀行等保有株式取得機構に納付する拠出金の額が 1 億円を超える法人
  • 相互会社(保険業法)
  • 投資法人(投資信託及び投資法人に関する法律)
  • 特定目的会社(資産の流動化に関する法律)

北九州エリアの中小企業の多くは資本金 1 億円以下であるため、引き続き紙の申告書が届きます。ただし、電子申請は義務化の対象外の会社でも利用でき、e-Gov を通じて申告すれば窓口に出向く手間が省けます。

2026 年度の労働保険料率

確定保険料には前年度、概算保険料には今年度の料率を使います。2026 年度の改定状況は次のとおりです。

保険料率の区分 2026 年度の改定状況
労災保険率 変更なし
一般拠出金率(石綿健康被害救済法にもとづく拠出金) 変更なし
雇用保険料率 2026 年 4 月 1 日より改定

雇用保険料率が改定されているため、2025 年度の確定保険料は 2025 年度の料率で、2026 年度の概算保険料は 2026 年度の料率で計算する必要があります。同じ料率で両方を計算してしまう誤りが起きやすいため、申告書の記載時に料率の欄を確認してください。

雇用保険料率は事業の種類(一般の事業、農林水産・清酒製造の事業、建設の事業)によって異なります。自社がどの区分に該当するかを確認したうえで、厚生労働省が公表している 2026 年度の料率表を参照してください。

年度更新の計算の流れ

年度更新の申告書を作成するには、前年度の賃金総額の集計から始めます。作業の流れを確認します。

賃金総額の集計

2025 年 4 月から 2026 年 3 月までに支払った賃金の総額を、労災保険の対象者と雇用保険の対象者に分けて集計します。労災保険はすべての労働者が対象ですが、雇用保険は加入要件を満たす労働者のみが対象であるため、パートやアルバイトの取扱いで両者の賃金総額が異なることがあります。

賃金には、基本給のほか、通勤手当、残業手当、賞与などが含まれます。退職金や役員報酬(兼務役員の労働者部分を除く)は含まれません。給与計算ソフトの賃金集計表を利用すると、集計が効率的です。

確定保険料と概算保険料の計算

集計した賃金総額に 2025 年度の保険料率を乗じて確定保険料を計算し、前年度に納付した概算保険料と比較して過不足を求めます。次に、2026 年度の見込み賃金総額に 2026 年度の保険料率を乗じて概算保険料を計算します。

概算保険料の見込み賃金総額は、前年度の賃金総額の 2 分の 1 以上 2 倍以下であれば、前年度の実績をそのまま使うことができます。従業員数や賃金水準に大きな変動がなければ、前年度の賃金総額をそのまま見込み額とするのが一般的です。

申告書の提出と納付

作成した申告書を労働局、労働基準監督署、または金融機関の窓口に提出し、保険料を納付します。電子申請の場合は e-Gov から申告し、電子納付や納付書での納付を行います。

保険料の納期限と延納

概算保険料の額が 40 万円以上(労災保険または雇用保険のいずれか一方のみ成立している場合は 20 万円以上)の場合、または労働保険事務組合に委託している場合は、保険料を 3 回に分けて納付する延納が認められます。

納付回 口座振替を利用しない場合の納期限(2026 年度)
第 1 期 7 月 10 日
第 2 期(延納が認められた場合) 11 月 2 日
第 3 期(延納が認められた場合) 2 月 1 日
第 4 期(分割納付を利用する単独有期事業のみ) 3 月 31 日

延納を利用すると、1 回あたりの納付額を抑えて資金繰りを平準化できます。ただし、申告書で延納を選択する必要があるため、申告時に忘れずに記載してください。

口座振替の利用

労働保険料は、納付書での納付のほか、口座振替でも納付できます。口座振替を利用すると、納期限より遅い振替日に引き落とされるため、実質的に納付を猶予する効果があります。

納付回 口座振替納付日(2026 年度)
第 1 期 9 月 7 日
第 2 期 11 月 16 日
第 3 期 2 月 15 日
第 4 期 3 月 31 日

第 1 期の納期限は 7 月 10 日ですが、口座振替なら 9 月 7 日の引き落としになるため、約 2 ヶ月の余裕が生まれます。

口座振替の申込期限

口座振替は事前の申込がないと使えません。2026 年度の全期・第 1 期分の申込はすでに締め切られているため、今から口座振替に切り替えることはできません。第 2 期以降から口座振替に切り替える場合は、次の期日までに手続きを行います。

開始する期 申込締切日
第 2 期から 8 月 14 日
第 3 期から 10 月 13 日
第 4 期から 1 月 7 日

翌年度から全期を口座振替にしたい場合は、年明けの早い時期に申込を済ませておくと確実です。労働保険事務組合に委託している場合は、事務組合が指定する期限に従ってください。

年度更新でよくある誤り

年度更新の申告書は毎年同じ様式ですが、記載を誤りやすい点がいくつかあります。当事務所で確認の際によく見つかる誤りを整理します。

誤りの内容 確認のポイント
確定保険料と概算保険料を同じ料率で計算している 確定は前年度、概算は今年度の料率を使う
雇用保険の対象外のパートの賃金を雇用保険の賃金総額に含めている 雇用保険の加入要件(週 20 時間以上など)で対象者を区分する
賞与や通勤手当を賃金総額から除いている 賞与や通勤手当は賃金に含まれる
役員報酬を賃金総額に含めている 兼務役員の労働者部分以外は含めない
前年度の概算保険料の充当額を反映していない 前年度の申告書の控えで納付額を確認する

これらの誤りは、確定保険料の過不足や翌年度の精算に影響します。申告書を提出する前に、前年度の申告書の控えと今年度の賃金集計表を並べて確認する習慣をつけておくと、誤りを減らせます。

また、労働保険料と一般拠出金は法定福利費として損金に算入されます。概算保険料を前払いした場合の経理処理は、支払時に法定福利費として計上する方法と、前払費用として月割で計上する方法があります。決算期をまたぐ場合は、税務上も認められる方法を選び、毎期同じ方法で続けます。

当事務所の考え方

年度更新の申告書は、当事務所で作成する場合でも、賃金集計表の元になる賃金台帳はお客様側で締めていただく必要があります。4 月から 3 月の 12 ヶ月分を 5 月中に締めておくと、6 月に慌てずに済みます。

口座振替は、納付を忘れる心配がなくなるうえ約 2 ヶ月の猶予が生まれるため、全期分の申込をお勧めしています。翌年度の第 1 期から使うなら、年明けの申込が確実です。

よくある質問

労働保険の年度更新について、当事務所によく寄せられる質問をまとめます。

Q1. 年度更新の申告書が届かないのですが、どうすればよいですか

電子申請が義務化されている法人であれば、申告書の代わりに通知書などが届きます。義務化の対象外であるにもかかわらず届かない場合は、労働局に問い合わせてください。申告書が届かなくても申告と納付の義務は消えません。7 月 10 日に間に合うよう、早めに確認してください。

Q2. 役員の報酬は賃金総額に含めますか

原則として役員報酬は労働保険の賃金総額に含めません。ただし、取締役でありながら部長などの職務を兼ねて労働者としての賃金を受けている兼務役員については、労働者としての賃金部分を含めます。

Q3. 年度の途中で従業員が増えた場合、概算保険料はどうなりますか

概算保険料は年度初めの見込みで申告しますが、年度の途中で賃金総額の見込みが当初の 2 倍を超えて増加し、かつ概算保険料の差額が 13 万円以上になる場合は、増加概算保険料を申告します。通常の増減であれば、翌年度の年度更新で確定保険料との差額として精算されます。

Q4. 申告期限に間に合わなかった場合はどうなりますか

期限後でも申告と納付はできますが、納期限の翌日から延滞金がかかります。また、申告をしないまま放置すると、労働局が保険料を決定して追徴金が課されることがあります。遅れた場合でもできるだけ早く申告してください。

Q5. 年度更新と算定基礎届は同じものですか

別の手続きです。年度更新は労働保険(労災保険・雇用保険)の保険料の申告で、労働局に提出します。算定基礎届は社会保険(健康保険・厚生年金保険)の標準報酬月額を決める届出で、年金事務所に提出します。どちらも 7 月 10 日が期限であるため、同じ時期にまとめて対応する必要があります。

料率の使い分けと口座振替の期限を確認する

2026 年度の労働保険の年度更新は、6 月 1 日から 7 月 10 日までに前年度の確定保険料と今年度の概算保険料を申告・納付します。電子申請が義務化された法人には紙の申告書が届かなくなりました。雇用保険料率は 4 月 1 日から改定されているため、確定分と概算分で異なる料率を使います。

口座振替を使えば納付に約 2 ヶ月の余裕が生まれます。第 1 期分の申込はすでに締め切られており、第 2 期以降からの切替は 8 月 14 日が申込期限です。当事務所では、北九州エリアの中小企業の皆様に、賃金集計から申告書の作成まで年度更新のサポートを行っています。労働保険の手続きでご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。

現在弊社では、ZOOMを利用したオンラインによる面談を行っております。
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