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所得税徴収高計算書(納付書)の様式が令和 8 年 9 月 24 日から変更|単票式への移行と記載の留意点を北九州の税理士が解説
公開日
- 税務実務
- 所得税
従業員の給与や税理士などへの報酬から源泉徴収した所得税は、原則として翌月 10 日までに「所得税徴収高計算書」、いわゆる納付書を使って納めます。毎月、あるいは年 2 回。ほとんどの会社が扱う書類です。
この納付書の様式が、令和 8 年 9 月 24 日から変わる予定です。国税庁の新しい基幹システムへの移行にあわせたもので、税務署の窓口で配付される納付書は複写式から A4 サイズの単票式に変わります。記載欄の追加や番号の変更もあるため、事前に主な変更点を確認しておく必要があります。
本記事では、北九州エリアで中小企業の源泉徴収事務をサポートしている税理士の視点から、納付書の様式変更の内容と、実務で気をつけたい点を整理して解説します。
所得税徴収高計算書とは
源泉徴収した所得税を納付する際に、その内訳を記載して金融機関や税務署に提出する書類です。給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書のほか、報酬・料金等、利子等、配当等など、源泉徴収の対象となる所得の種類ごとに様式が分かれています。
中小企業で最もよく使うのは、給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書です。毎月納付する会社は「一般用(毎月納付用)」、納期の特例を受けている会社は「納期特例用」を使用します。
| 区分 | 使用する会社 |
|---|---|
| 一般用(毎月納付用) | 給与の支払いを受ける人が常時 10 人以上の会社など、毎月納付する会社 |
| 納期特例用 | 納期の特例の承認を受け、7 月と 1 月の年 2 回納付する会社 |
納付書には、納付の対象となる期間、支払年月日、人員、支給額、税額などを記載します。
主な変更点
新様式では、次の点が変わります。
| 変更箇所 | 変更内容 |
|---|---|
| 納期等の区分欄など | 元号の記載欄が追加 |
| 徴収義務者欄 | 郵便番号とフリガナの記載欄が追加 |
| 整理番号 | 8 桁の「整理番号」から 13 桁の「お問い合わせ番号」に変更 |
| 二次元コード | 新たに追加(読み取っての納付はできない) |
元号の欄が増えます。これまでの納付書では年月の記載は数字だけでした。徴収義務者の欄には郵便番号とフリガナを記載する必要があり、記載項目が増えています。
整理番号からお問い合わせ番号へ
これまで納付書に印字または記載していた 8 桁の整理番号は、13 桁のお問い合わせ番号に変わります。税務署が納税者を識別するための番号であり、新しいシステムで管理される番号に切り替わるものです。
自社のお問い合わせ番号は、税務署から送付される書類などで確認できます。手書きで納付書を作成している会社は、新様式に切り替える際に番号を確認しておく必要があります。
二次元コードの追加
新様式に印刷されるコードは、税務署側でのデータ処理のためのものです。スマートフォンで読み取っても納付はできません。スマートフォンアプリで納付したい場合は、e-Tax から発行する QR コードを利用する別の仕組みがあるため、混同しないよう注意してください。
窓口配付用は単票式に変更
税務署の窓口で配付される納付書は、これまで 3 枚複写の様式でしたが、A4 サイズの単票式に変わります。1 枚の用紙に必要事項を記載し、切り離さずに金融機関などへ提出する形式です。
一方、昨年と同じく年末調整の時期に税務署から送られてくる納付書は、引き続き複写式となる予定です。年末に届く納付書と窓口で受け取る納付書で形式が異なることになるため、どちらの様式も正しく扱えるようにしておく必要があります。
単票式を利用する際の留意点
新しい単票式の納付書を使う場合、従来の複写式とは扱いが異なる点があります。
切り離さずに提出する
単票式の納付書は、A4 の用紙をそのまま金融機関などの窓口へ出します。切らないでください。複写式のように領収証書の部分を切り離す形ではありません。
防衛特別所得税の記載欄の取扱い
新様式には、新しい税の記載欄が設けられています。これは令和 9 年 1 月 1 日以後に生じる所得から課される新しい税ですが、令和 8 年 12 月以前に生じた所得には課されません。
そのため、令和 8 年中の給与などに係る源泉所得税を新様式の納付書で納める場合は、防衛特別所得税の欄があっても、税額は「源泉所得税及び復興特別所得税」として取り扱います。欄があるからといって防衛特別所得税を計算して記載する必要はありません。
同じ記載事項を何回も記載する必要がある
単票式には、複写式のように 1 回書けば 3 枚に転写される仕組みがありません。手書きの場合は手間が増えることになります。
この負担を軽減するため、国税庁のホームページに納付書へ印字できるツールが掲載される予定です。会計ソフトや給与計算ソフトから納付書を印刷している会社は、ソフトが新様式に対応しているかを確認してください。
従来様式の納付書はいつまで使えるか
「整理番号」欄のある現在の納付書は、令和 10 年 9 月頃まで使用できる予定です。お手元にある納付書は、引き続き使用することができます。
新様式への切替は急がなくても問題ありませんが、従来様式の納付書を使い切った後は新様式に切り替わります。また、令和 9 年分以降は防衛特別所得税を記載する場面が出てくるため、それ以降は新様式を使う方が確実です。
| 様式 | 使用できる期間 |
|---|---|
| 従来様式(整理番号欄あり) | 令和 10 年 9 月頃まで使用可能 |
| 新様式(お問い合わせ番号欄あり) | 令和 8 年 9 月 24 日から |
年末調整の時期に税務署から送られてくる納付書は複写式です。多くの会社は、しばらく複写式を使い続けることになります。
電子納付への切替という選択肢
様式変更を機に、電子納付へ切り替える会社も増えるでしょう。電子納付であれば、納付書の様式に左右されず、金融機関の窓口へ出向く手間もなくなります。
| 納付方法 | 特徴 |
|---|---|
| ダイレクト納付 | e-Tax で徴収高計算書のデータを送信し、指定口座から引き落とし。事前に届出が必要 |
| インターネットバンキング | e-Tax で送信後、ペイジー対応のネットバンキングから納付 |
| クレジットカード納付 | 国税クレジットカードお支払サイトから納付。決済手数料がかかる |
| スマートフォンアプリ納付 | 30 万円以下の納付が対象。e-Tax から QR コードを発行して納付 |
ダイレクト納付は、e-Tax で徴収高計算書を作成して送信し、納付日を指定して口座から引き落とす方法で、源泉所得税の納付に最も適しています。事前に税務署へダイレクト納付利用届出書を提出する必要があり、届出から利用開始まで 1 ヶ月程度かかるため、早めの手続きをおすすめします。
新様式での記載の流れ
新様式の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(一般用)を手書きで作成する場合の流れを確認します。記載する内容は従来と大きく変わりません。追加された欄だけ気をつけてください。
| 記載欄 | 記載する内容 |
|---|---|
| 年度・税務署名・お問い合わせ番号 | 会計年度、所轄税務署、13 桁のお問い合わせ番号 |
| 納期等の区分 | 元号と、給与を支払った年月 |
| 徴収義務者 | 郵便番号、住所、フリガナ、会社名、電話番号 |
| 支払年月日・人員・支給額・税額 | 俸給・給料等、賞与、日雇労務者の賃金、退職手当等、税理士等の報酬の各区分ごと |
| 年末調整による超過税額・不足税額 | 年末調整を行った月に記載 |
| 本税・合計額 | 各区分の税額の合計と納付する金額 |
税理士や司法書士などへの報酬から源泉徴収した所得税は、給与と同じ納付書の「税理士等の報酬」欄に記載します。原稿料や講演料、外注のデザイナーへの報酬などは、報酬・料金等の所得税徴収高計算書という別の納付書を使う点は従来どおりです。
納付する税額がない月(源泉徴収税額が 0 円の月)でも、給与を支払っていれば納付書の提出は必要です。この場合は税額 0 円の納付書を税務署へ提出(または e-Tax で送信)します。提出を忘れても加算税はかかりませんが、税務署から確認の連絡が来ることがあるため、毎月の手続きとして習慣づけておくと安心です。
当事務所の考え方
手元の納付書は令和 10 年 9 月頃まで使えるため、急いで新様式に切り替える必要はありません。当事務所では、お客様に納付書での納付を続けるよりも、この機会にダイレクト納付へ切り替えることをお勧めしています。届出から利用開始まで 1 ヶ月程度かかるため、年末調整の前に手続きしておくと年明けの納付から使えます。
新様式で納める場合、令和 8 年分の給与に防衛特別所得税の欄を使わない点だけ注意してください。欄があると記入したくなりますが、令和 8 年分には課されません。
よくある質問
納付書の様式変更について、当事務所によく寄せられる質問をまとめます。
Q1. 手元にある従来様式の納付書は使えなくなりますか
令和 10 年 9 月頃まで使用できる予定です。手元にある納付書は引き続き使用して問題ありません。使い切った後に新様式へ切り替えてください。
Q2. お問い合わせ番号はどこで確認できますか
税務署から送付される通知書や案内書類に記載される予定です。分からない場合は、所轄の税務署に問い合わせて確認できます。顧問税理士がいる場合は、税理士を通じて確認することもできます。
Q3. 新様式の納付書で令和 8 年分の源泉所得税を納める場合、防衛特別所得税の欄はどうしますか
令和 8 年 12 月以前に生じた所得には防衛特別所得税は課されないため、その欄は使わず、税額を源泉所得税及び復興特別所得税として記載します。防衛特別所得税の欄を使うのは、令和 9 年 1 月 1 日以後に生じる所得についてです。
Q4. 給与計算ソフトで納付書を印刷していますが、対応は必要ですか
ソフトが新様式に対応するバージョンに更新されているかを確認してください。従来様式は令和 10 年 9 月頃まで使えるため、すぐに対応しなくても納付に支障はありませんが、令和 9 年以降は防衛特別所得税の記載が関わるため、それまでに更新しておくことをおすすめします。
Q5. 納期の特例を受けている場合の納付書も変わりますか
納期特例用の納付書も同様に新様式へ切り替わります。7 月 10 日と 1 月 20 日の納付で使用する際は、手元の様式が従来のものか新しいものかを確認したうえで記載してください。
手元の納付書は令和 10 年 9 月頃まで使える
所得税徴収高計算書(納付書)は、令和 8 年 9 月 24 日から様式が変わり、元号欄と郵便番号・フリガナ欄の追加、整理番号から 13 桁のお問い合わせ番号への変更、二次元コードの追加が行われます。税務署窓口で配付される納付書は A4 サイズの単票式となり、切り離さずに提出します。
新様式には防衛特別所得税の欄がありますが、令和 8 年 12 月以前の所得には課されないため、令和 8 年分は源泉所得税及び復興特別所得税として取り扱います。従来様式は令和 10 年 9 月頃まで使用できるため、手元の納付書は引き続き利用できます。当事務所では、北九州エリアの中小企業の皆様に、源泉所得税の納付管理やダイレクト納付への切替をサポートしています。納付書の取扱いでご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。
