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8 割の企業が人手不足を実感|中小企業の人材不足への対応策と AI 活用・省人化投資の動きを北九州の税理士が解説

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  • 経営

「求人を出しても応募がない」「採用できても定着しない」という声は、北九州エリアの経営者の方からも日常的に聞かれます。人手不足は、規模や業種を問わず多くの企業が直面している経営課題です。

2026 年 4 月に公表された財務省の調査結果では、人手不足感がある企業が 8 割を超え、そのうち求人を出しても人手を確保できていない企業が 59 % に達しています。一方で、対応策として AI 活用や自動化・省人化投資に取り組もうとする企業が増えていることも分かりました。

本記事では、中小企業の経営と資金の相談を受けている税理士の視点から、調査結果の内容と、中小企業が現実的に取り組める人材不足への対応策を整理して解説します。

調査の概要

参照するのは、財務省の「全国財務局管内経済情勢報告概要(令和 8 年 4 月)地域企業の人材戦略(特別調査)」です。各財務局が管内の経済情勢報告を取りまとめる際に、従来から継続的にヒアリングを行っている企業などを対象として、2026 年 3 月上旬から 4 月上旬に実施されました。回答企業数は全国計 1,094 社です。

継続的にヒアリングを行っている企業が対象であるため、地域の実態を反映した結果になっている点が特徴です。

人手不足感がある企業は 8 割超

調査結果から企業の人手不足感をまとめると、次のとおりです。

人手不足感の状況 割合
求人を出しているが、人手を確保できていない 59 %
求人を出したいが、人件費等が負担で出せない 2 %
人手不足感はあるが、求人を出すほどではない 7 %
人手不足感はあるが、上記に該当なし 13 %
人手不足感なし 19 %

人手不足感がないと回答した企業は 19 % で、8 割以上の企業が何らかの人手不足感を抱えています。なかでも、求人を出しているのに人手を確保できていない企業が 59 % と、募集しても採用に至らない状況が広がっていることが分かります。

企業規模別では、中小企業で人手不足感がない割合が最も少なくなっています。大企業に比べて賃金や知名度で見劣りしやすい中小企業ほど、採用の難しさを実感している状況です。

人手不足への対応策の現状と今後

現状注力している取組と今後注力していく取組を企業規模別にまとめると、次のようになります。中小企業の数字を中心に確認します。

対応策 中小企業(現状 → 今後)
人材獲得策の強化 77 % → 67 %
既存従業員の配置転換、残業等での対応 39 % → 25 %
多様な人材活用 39 % → 35 %
既存従業員のリスキリング・高付加価値化 35 % → 36 %
自動化・省人化投資 30 % → 38 %
アウトソーシング 22 % → 20 %
AI 活用 18 % → 31 %
AI ロボティクスの活用 3 % → 9 %
操業短縮 7 % → 8 %

現状では、企業規模を問わず人材獲得策の強化に注力している企業が最も多く、中小企業では 77 % に上ります。今後についても人材獲得策の強化が最も高い水準です。

今後増えるのは AI 活用と省人化投資

現状と今後の差に注目すると、AI 活用は 18 % から 31 % へ、自動化・省人化投資は 30 % から 38 % へ、AI ロボティクスの活用は 3 % から 9 % へと、いずれも今後の方が高くなっています。この傾向は企業規模にかかわらず共通しており、人材不足への対応に AI などを取り入れようとする企業が多いことが分かります。

一方、既存従業員の配置転換や残業での対応は 39 % から 25 % へ大きく減少しています。人が足りない分を今いる従業員の負担で補う方法には限界があり、投資や技術で補う方向へ転換しようとしている姿が読み取れます。

大企業と中堅企業の傾向

大企業では、AI 活用が現状 39 % から今後 51 % へ、自動化・省人化投資が 43 % から 50 % へと、中小企業よりも高い水準で投資を進めようとしています。中堅企業も AI 活用が 26 % から 39 % へ上昇しています。

規模が大きいほど投資余力があるため先行している面はありますが、中小企業でも AI 活用が 13 ポイント上昇しており、規模を問わず関心が高まっていることは確かです。

中小企業が取り組める対応策

調査結果を踏まえて、北九州エリアの中小企業が現実的に取り組める対応策を整理します。自社の現状を分析し、AI 活用に限らず自社でできる対応策を組み合わせていくのが現実的な進め方です。

採用の見直し

求人を出しても応募がない場合、求人票の内容、募集する媒体、提示する労働条件のいずれかに課題があることが多いものです。年間休日や賃金水準が同業他社と比べて見劣りしていないか、求人票に会社の魅力が伝わる情報が書かれているかを見直します。

求人サイトや SNS、従業員からの紹介など、ハローワーク以外の入口を増やすことも有効です。

定着率の改善

採用しても辞めてしまう会社は、採用にかけた費用と時間が無駄になります。労働時間、人間関係、評価の納得感、キャリアの見通しなど、離職の原因を把握して改善することが、結果として人手不足の解消につながります。

賃上げや休日の増加は人件費に響きます。それでも、離職による採用コストや教育コストと比べれば、定着への投資の方が安く済むことは多いです。

多様な人材の活用

シニア、女性、外国人、障害者、副業・兼業人材など、これまで採用の対象としていなかった層に目を向けることで、応募者の幅が広がります。短時間勤務や在宅勤務など、働き方の選択肢を用意することが受け入れの前提になります。

業務の見直しと省人化

人を増やす前に、今ある業務のなかで減らせるもの、自動化できるものを洗い出します。請求書の発行や経費精算、勤怠管理など、事務作業の多くはクラウドツールで効率化できます。製造や物流の現場では、設備の導入で作業時間を短縮できます。

AI の活用

文書の作成、問い合わせへの対応、データの集計、翻訳など、AI で代替や補助ができる業務は増えています。高額なシステムを入れなくても、月額数千円程度の生成 AI サービスを事務作業に取り入れるだけで従業員の時間は減らせます。

省人化投資を支える税制と助成金

自動化や AI 導入などの投資には資金がかかりますが、中小企業向けの税制や助成金で負担を抑えられます。

制度 内容
中小企業経営強化税制 生産性向上や収益力強化に資する設備投資について即時償却または税額控除
中小企業投資促進税制 一定の機械装置やソフトウェアの取得について特別償却または税額控除
少額減価償却資産の特例 40 万円未満の資産を取得年度に全額損金算入(年 300 万円まで)
業務改善助成金 賃上げとあわせて行う設備投資等の費用の一部を助成
IT 導入補助金 業務効率化のための IT ツール導入費用の一部を補助
中小企業省力化投資補助金 人手不足解消に効果がある省力化製品の導入費用の一部を補助

これらの制度には要件や申請時期が定められています。投資の前に確認してください。特に補助金は交付決定前の発注が対象外になるものが多いため、計画の段階で税理士や支援機関に相談することをおすすめします。

人件費と投資のバランスを数字で考える

人手不足への対応は、採用にせよ投資にせよ費用が伴います。どちらにどれだけ資金を振り向けるかは、数字で比較して決めてください。

たとえば、事務員 1 人を新たに採用する場合、年収 300 万円に社会保険料の会社負担分などを加えると、年間の人件費は 350 万円前後になります。採用にかかる求人広告費や教育期間中の生産性の低さを考えると、初年度の負担はさらに大きくなります。

一方、請求書発行や経費精算のクラウドツールを導入して既存の従業員の事務時間を月 40 時間減らせるとすれば、年間 480 時間分の労働力が生まれます。導入費用が年間 30 万円程度であれば、採用に比べてはるかに低い負担で同じ効果を得られる可能性があります。

接客や現場作業など、人でなければできない仕事には採用で対応します。業務を「人が担うべき仕事」と「仕組みで置き換えられる仕事」に分けたうえで、それぞれに合った対応策と予算を割り当てることが、限られた資金を有効に使う考え方です。

当事務所の考え方

人手不足の相談を受けたときは、採用に動く前に、現在の業務のうち「その人でなくてもできる仕事」を書き出してもらうようお願いしています。事務作業の 2 〜 3 割は、クラウド会計や勤怠ソフトへの置き換えで減らせることが多いためです。

省人化の投資には、中小企業経営強化税制や少額減価償却資産の特例が使えます。投資の前に適用要件を確認すれば、税負担を抑えながら人手不足に対応できます。

よくある質問

人材不足への対応について、当事務所によく寄せられる質問をまとめます。

Q1. 賃上げをしても応募が増えません。何が原因でしょうか

賃金以外の要因を疑ってください。求人票の情報量、休日や労働時間、職場の雰囲気、会社の知名度などを総合的に見直してください。同業他社の求人条件と比較すると、自社の弱点が見えやすくなります。

Q2. AI 導入は中小企業でも現実的ですか

現実的です。大規模なシステムを構築しなくても、汎用の生成 AI サービスを業務に取り入れることで、文書作成や情報整理の時間を短縮できます。まず 1 つの業務で試してみて、効果があれば範囲を広げる進め方が失敗しにくい方法です。

Q3. 省人化投資の資金をどう調達すればよいですか

補助金や税制優遇を活用したうえで、不足分は金融機関からの融資で調達するのが一般的です。日本政策金融公庫や地元の金融機関には、設備投資向けの融資制度があります。投資による効果(時間の短縮や人件費の削減)を数字で示した計画書があると、審査がスムーズです。

Q4. 人手不足を理由に事業を縮小することも検討すべきですか

調査でも操業短縮を選択肢とする企業が 7 〜 8 % あります。採算の低い事業や時間帯を見直して、限られた人員を収益性の高い業務に集中させることは、合理的な判断のひとつです。ただし、縮小によって売上が減れば固定費の負担が相対的に重くなるため、損益への影響を試算したうえで判断してください。

Q5. 人材不足への対応を相談できる公的機関はありますか

よろず支援拠点、商工会議所、中小企業基盤整備機構などが経営相談を受け付けています。福岡県や北九州市にも中小企業向けの相談窓口があり、省力化投資や採用に関する支援制度の案内を受けられます。

人が担う仕事と仕組みで置き換える仕事を分ける

財務省の調査によると、8 割以上の企業が人手不足を実感し、求人を出しても確保できない企業が 59 % に達しています。対応策としては人材獲得策の強化が最も多い一方で、今後は AI 活用や自動化・省人化投資に取り組む企業が増える見通しです。

中小企業が取り組める対応は、採用の見直し、定着率の改善、多様な人材の活用、業務の見直し、AI の活用など多岐にわたり、投資を伴う場合は税制や助成金の活用が負担軽減につながります。当事務所では、北九州エリアの中小企業の皆様に、人件費や投資の資金計画、税制優遇の活用を含めた経営面からのサポートを行っています。人材不足への対応でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

現在弊社では、ZOOMを利用したオンラインによる面談を行っております。
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