「103万円の壁」とは

「103万円の壁」とは、パートやアルバイトなどで働く方が年収103万円を超えると所得税が発生し、扶養控除の適用が変わる収入ラインを指します。この基準は、所得税の基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)の合計額に基づいて設定されています。そのため、年収が103万円以下であれば所得税はかからず、扶養者も扶養控除を受けられます。しかし、年収が103万円を超えると所得税が課税されることになります。

年収103万円を超えると、税制上では配偶者控除の適用から外れることになりますが、150万円までは配偶者特別控除で同額(満額)の控除が受けられます。また、年収100万円以上、103万円以上で発生する住民税や所得税についても、それほど大きな負担にはなっていないとも考えられています。

「103万円の壁」引き上げの背景

1995年に設定された「103万円の壁」は、最低賃金の上昇や物価の変動に対応していないとの指摘がありました。1995年当時、最低賃金の全国平均は611円でしたが、2024年10月時点では1,055円と約1.73倍に上昇しています。このため、同じ労働時間でも収入が増え、「103万円の壁」を超えやすくなっています。その結果、税負担が増加し、働き控えをするケースが増えていました。

「103万円の壁」引き上げの決定

2024年11月20日、自民党・公明党・国民民主党の合意により、「103万円の壁」の引き上げが正式に決定されました。具体的な引き上げ額については、国民民主党が「178万円の壁」への引き上げを提案しています。これは、最低賃金の上昇率に合わせたものです。しかし、引き上げ額や実施時期については、政府与党と協議中であり、最終的な決定はまだされていません。

「103万円の壁」引き上げの実施時期

2024年12月3日の最新情報によれば、2026年1月からの壁引き上げを検討していることが判明しました。これは、企業側の事務負担やシステム対応負担を考慮し、一定の周知期間が必要とされているためです。しかし、これが最終決定ではなく、今後の議論や調整によって変更される可能性があります。

「103万円の壁」引き上げによる影響

「103万円の壁」の引き上げにより、所得税がかかる収入の基準が上がるため、パートやアルバイトで働く方々の税負担が軽減される可能性があります。また、扶養控除の適用範囲も広がるため、扶養者の税負担も減少することが期待されます。さらに、働き控えをなくし、人手不足の解消にも寄与するとされています。

今後の展望

「103万円の壁」の引き上げは、働き方や家計に大きな影響を与える重要な変更です。そのため、引き上げ額や実施時期についての最新情報を注視し、自身の働き方や収入計画を見直すことが求められます。また、税制や社会保険制度の変更に伴う手続きや対応についても、適切に準備することが重要です。