消費税込みの総額表示の義務化が復活!

消費税率の引き上げおよび、軽減税率制度の導入がなされたのは2019年10月のこと。
あれから1年半が経ち、2021年3月31日をもって、いよいよ総額表示に関する特別措置法の適用期限が終了を迎えます。

えっ?
2019年9月の時点で、消費税込みの値札と消費税別の値札が混在していたんじゃない?1年半経過したからすべて税込み表示にしなくちゃいけないの?

そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。

今回は、消費税転嫁対策特別措置法特例期間終了に伴う総額表示の義務化について解説いたします。

消費税導入時の税率は3%でした

はじめて消費税が導入されたのは1989年4月1日。その時の消費税率は3%でした。3%の消費税率、懐かしいですね。

1988年の竹下内閣時に消費税法が成立したことから、第74代内閣総理大臣 竹下登氏のお孫さんにあたるタレントのDAIGOさんも「爺さんがやったんだろ?みたいにクラスメートから軽いバッシングを受けた」とテレビ番組でお話されていたのを拝見したことがあります。

1989年に消費税が導入されてからしばらくは「税別価格+消費税」といった表記と「消費税込価格」の表記が混在していた時期がありました。

その後、総額表示が義務付けられていた期間があったのですが、消費税率を段階的に引き上げることが決まったため、消費税転嫁対策特別措置法により、「税別価格+消費税」でも「消費税込価格」でもよいとされる特例措置が適用されていました。

この期間が長かったため、どちらの表示方法でも問題ないのだろうと思われている方が多いかもしれません。

しかしながら、2021年3月31日をもって総額表示に関する特別措置法の適用期限は終了を迎えます。適用期間終了に伴い、価格の表示方法は、2021年4月1日から消費税込みの「総額表示」に統一されることになります。

※関連記事:消費税率が10%になったら、その日から値札も変える必要があるのか

「総額表示」とは?

「総額表示」とは、消費者に商品の販売やサービスの提供を行う課税事業者が、値札やチラシなどにおいて、あらかじめその取引価格を表示する際に、消費税額(地方消費税額を含みます。)を含めた価格を表示することをいいます。

※ 引用元:No.6902 「総額表示」の義務付け|国税庁

対象となるのは、商品本体による表示(商品に添付または貼付される値札等)、店頭における表示、チラシ広告、新聞・テレビでの広告など。消費者に対して行われる価格表示であれば、それがどのような表示媒体により行われるものであるかを問わず、総額表示が義務付けられます。

つまり、店頭値札やチラシ、ポスター、商品カタログ、インターネットの通販サイトなどで価格表示をする際には、必ず税込み価格を表示(総額表示)しなければならないということです。

これは、店舗や通販サイトだけではなく、商品広告を掲載しているサイトにも適用されます。例えば、個人で運営しているアフィリエイトサイトで商品を紹介する場合にも、その商品価格は総額表示で掲載する必要があるということです。

これは消費税法第63条によるもので、消費税の総額表示義務は「消費税相当額を含む支払総額」が一目で分かるようにするためのものなのです。

総額表示になると何が変わるのか

これまではお店によって、プライスカードや値札が、税込み価格であったり税抜価格であったりしていました。

税抜き価格表示では、最終的に支払う金額がわかりにくかったですよね。

おっ、安い!と思っても、税込価格を計算したらそうでもなかったり。
税込価格で換算するのが面倒だと感じることも多かったように思います。

総額表示になると、支払価格が一目でわかることから、消費者にとって利便性が高くなります。

ユニクロでは9%もお得な価格設定に

有名アパレル店のユニクロでは、総額表示に関する特別措置法の終了に先駆け、3月12日から、すべての取扱商品において、これまでの「税別価格+消費税」から消費税込みの総額表示に切り替えられました。

その際、これまでの商品本体価格(税別価格)が、そのまま消費税込みの価格となったことから、約9%もお得な価格設定になったと話題になりました。

どういうことかというと、例えば2021年3月11日まで「1,990円 + 消費税=2,189円」だった商品が、2021年3月12日以降は「1,990円(消費税込価格)」となった、ということです。

ユニクロでお買い物されたことのある方は値札を思い出していただけるとわかりやすいかと思います。「本体価格 1,990円 + 消費税」となっていましたよね。それが「1,990円」に変更されたということです。

ユニクロでは上記のように変更されましたが、これまでの税抜価格を税込価格にする必要はありませんし、表示方法も必ずしも1種類ではありません。

総額表示の具体例

ユニクロの例のように税込価格を「1,990円」とだけ表示する方法のほか、以下のような表示方法があります。

以下の例示は、商品やサービスの価格が10,000円で、消費者の支払う総額が消費税込みで11,000円の場合です。

11,000円
11,000円(税込)
11,000円(税抜価格10,000円)
11,000円(うち消費税額等1,000円)
11,000円(税抜価格10,000円、消費税額など1,000円)
10,000円(税込11,000円)

支払総額である「11,000円」さえ明瞭に表示されていれば良いので、上記のように税込価格のみでも、税抜価格との併記でも構いません。

なお、総額表示に伴い税込価格の設定を行う場合において1円未満の端数が生じるときには、その端数を四捨五入、切り捨てまたは切り上げのいずれの処理方法でも差し支えありません。

2021年4月1日から「総額表示」義務化スタート!

消費税込みの総額表示は、消費者が一目でその支払総額、実際に支払う金額をわかりやすくするために必要なものです。

これまで税別表示をしていたお店では、値札の付替えであったり、プライスカードの貼り替え、書き換えであったりと、手間はかかってしまいますが、4月1日から「義務化」されるので3月31日までに対応する必要があります。

個人商店であっても価格表示をしている場合は総額表示義務の対象です。切り替えがまだお済みでない場合は、慌てることのないように早速準備しておきましょう。なお、もともと価格表示を実施していない店舗は除外されます。

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